フェニックス(CNN) 米アリゾナ州フェニックスで29日、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を展示する「言論の自由」集会が開かれた。現場にはこれに反対する人々も集まり、両者によるにらみ合いが続いた。
集会が開かれたのはフェニックスにあるモスク(イスラム教礼拝所)「イスラミック・コミュニティー・センター」の前。このモスクには、テキサス州で今月3日に行われたムハンマド風刺画イベントの会場で発砲し、警官に射殺されたエルトン・シンプソン容疑者とナディル・スーフィ容疑者が通っていた。
関係者は集会の目的について、交流サイト「フェイスブック」上で「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)とつながりを持つ武装した2人のテロリストがジハード(聖戦)を試みたテキサス州での襲撃事件に応答するものだ」としている。
集会には約600人が参加を表明し、モスク内で夕方の礼拝が行われる時間に合わせて開始時間が設定された。両勢力はモスク前の通りを挟んで向かい合い、互いに罵声を浴びせた。通りの中央には警察官が列を作り、両者をけん制している。
イスラム教徒の多くはムハンマドの描写を宗教の冒とくと捉え、イスラム法上の禁止行為とみている。この点、集会の主催者は風刺画コンテストを「愚かしくばかげている」としながらも、「イスラム教の真の姿を暴くためには必要なことだ」と述べた。
元海兵隊員であるこの主催者はイスラム教を侮蔑する言葉が書かれたTシャツを着用。一方、集会の反対者は「なんじの隣人を愛せよ」と書かれたシャツを着て応戦した。
地元のイスラム教徒の指導者らは、こうした抗議に屈しない姿勢を強調。そのうち一人は記者会見で、「米国におけるイスラム教徒のコミュニティーはこの国で生活しているのであり、思ったことを話し好きなように礼拝する権利についてもよく心得ている」と話した。
ホワイトハウスのアーネスト報道官は集会を巡る対立について、表現が挑発的であったとしてもそれを理由に暴力行為をしてはならないとする声明を発表した。