あの程度の根拠で自衛隊員を殺すのですか？

「集団的自衛権」という言葉が一人歩きしだし、日本を戦争当たり前の国に導こうとしています。

５月１５日、安倍さんはお友達懇談会からの報告を受けて記者会見をしました。

いくつかの事例を示して、反撃できない現状について「それでいいのですか！」と頬を紅潮させて国民に語りかけました。

安倍さんが提示した一つの事例について、一緒に考えてください。

Ａ国に対し、Ｂ国からの攻撃が始まった。

残留していた日本人、お父さんやお爺ちゃんやお母さんや子供たちをアメリカの軍艦が運んでくれている。

そこにＢ国からの攻撃がなされたときに、現状の日本の憲法解釈では反撃できない。

日本人を輸送してくれるアメリカの軍艦を守るために日本が反撃するのは当たり前ではありませんか？

こうした安倍さんの訴えに、かなりの日本人が「それは、そうだ！」と同調しているようです。

では、現役自衛隊員は、どのように考えているのでしょうか？

長崎新聞の５月１７日付け「変容する平和国家」というシリーズ記事に、次のような意見が載せられていました。

（防衛省の制服組の幹部の話として）

・・・「そういうケースが喫緊の課題として議論になったことはない」と首をひねった。
①在留邦人の避難はまず民間機を使うのが通例②米艦船は戦闘の準備が最優先のはず③防護が必要なら米軍内でする・・・など次々に疑問が浮かぶ事例。

自衛隊員の中にも様々な意見があるでしょう。「動きやすくなる」と答える自衛官もいます。しかし、私たち国民は、その答えを現場の自衛官に求めてはいけないと思います。

国民一人一人が、自らの「人を殺し、殺される事態」への覚悟をもって考え決めることでしょう。

そうした覚悟を持っているつもりのシカリさんからすると安倍さんの覚悟のなさは、笑うしかない。

先の防衛省幹部の話を持ち出すまでもなく、常識で外国における邦人救出の在り方を考えれば、安倍さんのふざけぶりがわかると思う。

海外における災害、混乱から邦人を守るために外務省は日常的に「危険情報」を発出しています。その情報に基づいて、自らの行動を律するのは責任ある成人なら当然のこと。それでも、何らかの理由で危険を回避できない人々に対して、火急の事態になった時には「退避勧告」を出しているはずです。安倍さんが例として示したような人々が、戦争状態になるまで外国に滞在するという事態が非現実的ではないでしょうか。

それでも、何らかの事情（大使館などからの情報が伝わらないなど）で状況を把握できず危険地帯に滞在し続け、拉致されたり、殺害された事例もありました。２００４年、イラクでの数々の事件です。わずか十年前のことです。

その時に、自民党やマスコミの一部（この前、ヨットで遭難し世間を騒がせたキャスターなど）が言ったのが「自己責任でしょ」と言うこと。

ひと昔前のことだから忘れているとでも思っているのでしょうか。片方には「自己責任」と言い、片方には戦争参加も覚悟の上に『守るのが当たり前」と言う。一体、どういう国民を守り、どういう国民は見捨てられるというのでしょうか。

「限定的武力行使」とか「駆けつけ警護」とかの言い回しも出ていますが、相手国にとっては日本の参戦でしかありません。

現代の日本の政治家の不誠実ぶりを示すのが、上のような言葉をひねり回し、現実を直視せず、結果を直接国民に背負わせようとする無責任議論です。

戦闘状態が始まったことについて、その背景も事実関係も調べず、つまり、アメリカが悪いのか、敵国が悪いのかも調べず、米艦船に日本人が乗っていてミサイル攻撃を受けたら反撃するという理屈。感情的に「日本人が乗っているから当然だ」という鶏の頭みたいな発想をする人もいるだろう。そんな無責任な人の発想で、戦争に巻き込まれるのは、願い下げだ。