安倍内閣は、豪雨災害を自らのこととして受け止め取り組んでいるのか?
西日本を中心とする豪雨災害を受け政府は8日、非常災害対策本部(本部長・小此木八郎防災担当相)を設置し、首相官邸で初会合を開いた。
安倍晋三首相は救命救助や避難誘導に全力を挙げるよう指示。政府は豪雨を激甚災害に指定し、被災自治体を財政支援する方向で調整に入った。
首相は自衛隊、警察、消防などによる救助要員を、7日の4万8000人から5万4000人に増強したことを報告。「救命救助は時間との闘いだ。事態の変化に応じて態勢を機動的に強化するなど、全力で当たっていきたい」と強調した。
首相はまた、「多くの方が避難所などで不安の時を過ごしている。先手先手で支援に当たってほしい」と述べ、各閣僚が被災自治体と連携して物資供給や仮設住宅設置に取り組むよう求めた。
菅義偉官房長官はこの後の記者会見で、激甚災害指定について「被災自治体が安心できる態勢をしっかり取っていきたい」と前向きな考えを表明。これに関連し、政府高官は「指定しないことはない」と明言した。
一方、小此木防災担当相は記者団に「(雨が上がり)気温が上がってくることも心配だ」と述べ、避難所などの暑さ対策も課題になると指摘した。
実動部隊を7万3,000人に増強
災害マネジメント総括支援員の派遣等、被災自治体への人的支援を本格化
「梅雨前線がもたらしている今回の大雨は、昨日大雨特別警報が出された西日本を始め、全国の広域にわたりこれまでに経験したことのない記録的な雨量となっており、全国各地で被害が発生しています。
お亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
現在も各地で河川の氾濫、土砂災害が多数発生し、安否が確認できない方の情報が多く寄せられています。事態は極めて深刻な状況にあります。各位にあっては、人命第一の方針の下、救助部隊を遅滞なく投入し、被災者の救命・救助に全力を尽くしていただきたいと思います。
そして、先手先手で被害の拡大防止に万全を期してください。事態は刻々と変化します。被害情報を迅速に把握し、被災地点、被災市町村と緊密に連携して住民の避難、さらには被災者の生活支援、ライフラインの復旧など広域に渡る様々な事態に即座に対応するよう、強いリーダーシップを発揮して対応に当たってください。」
「今回の大雨により、川の氾濫や土砂崩れなどによる死者は48人、心肺停止の方が28人となり、甚大な被害が広範囲で生じ続けています。
お亡くなりになられた方々に、心よりお悔やみを申し上げますとともに、全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
今なお、安否不明の方が多数いらっしゃいます。浸水の恐怖の下で、孤立して救助を求めている方もおられます。救命救助、避難は時間との戦いです。5万4,000人の救助部隊の諸君が、懸命に救助に当たっていますが、事態の変化に応じ、救助部隊の体制を機動的に強化するなど、引き続き、全力で救命救助、避難誘導に当たってもらいたいと思います。
また、現在、多くの方が避難所などで、不安な時を過ごしています。各位にあっては、これまでの災害の教訓を十分にいかし、被災府県、被災市町村としっかりと連携しながら、プッシュ型で、不足している物資の供給、災害対応に当たる要員の人的支援、ライフラインの早期復旧に向けた支援を行うなど、また明日から暑くなると予想されるわけでございますが、避難所の環境への対応、そしてまた、仮設、そして公共住宅の活用も含めたみなし仮設等の準備に向けてしっかりと対応していただきたいと思います。先手先手で被災者の支援に当たってください。
現在も、大気が不安定な状態が続いており、岐阜県、愛媛県、高知県では大雨特別警報が発令されています。国民の皆さんには、引き続き、自治体や気象台が発表する避難や気象情報等に十分注意し、早めに避難するなど、安全確保に努めていただきたいと思います。」
「今回の記録的な豪雨による死者・行方不明者は100人を超え、極めて甚大な被害が生じています。
今もなお、安否不明者が多数おられることなどから、実動部隊を7万3,000人に増強し、全力で救命救助に当たっております。
暑さが厳しくなる中、被災者へのきめ細やかな支援は急務です。既に今朝から食料が避難所に届き始め、また、本日から災害マネジメント総括支援員の派遣等、被災自治体への人的支援を本格化しますが、政府として被災者の生活支援を更に迅速かつ強力に進めるため、各省横断の被災者生活支援チームの設置を指示します。
このチームを通じ、生活支援物資の供給、そのための物流の確保、被災自治体への職員派遣や、クーラー設置等による避難所生活の環境整備、仮設住宅の確保など、必要が生じる事柄を先取りして、プッシュ型での支援によって確実に被災者の皆様の元に届くよう、国・自治体が緊密に連携して一丸となって迅速に進めてまいります。
また、広島市に被災者生活再建支援法が適用され、住宅が全壊された方等に支援金が支給されることとなりました。政府としても、各府県の自治体の皆様が財政上安心して全力で応急対応、あるいは復旧に当たれるように、しっかりと財政措置を講じてまいります。
各位にあっては、引き続き、被災自治体としっかりと連携し、被災者に寄り添いながら、先手先手で対応に万全を期していただくようお願いします。」
「今般の豪雨による死者・行方不明者は140人を超えました。政府として、今もなお多数に上る安否不明者の捜索に全力で当たっております。
昨日、政府調査団を岡山県、広島県に派遣し、昨夜、団長の小此木防災担当大臣より被災地の詳細な状況について報告を受けました。
被災地では多くの通行止めが発生しておりますが、支援物資輸送や復旧作業を加速させるため、道路啓開に全力を挙げるとともに、コンビニ等への物資輸送車両を緊急車両扱いとするなどの措置を講じます。また、広範囲の断水に対処するため、自衛隊による給水支援や入浴支援を広島県呉(くれ)市や岡山県倉敷市等で行いながら、同時に、水道事業者の協力を得て、官民一体となって、早期の復旧に向けて全力で取り組んでまいります。
暑さが厳しさを増す中、多くの方々が、肉体的にも精神的にも困難な避難生活を余儀なくされています。このため、水、食料、クーラー、仮設トイレといった緊急に必要となる物資の調達を本格化しておりますが、国の判断によるプッシュ型の支援を一層強化するため、国として財政措置を講じます。予備費を充てることにいたします。これにより、被災者の方々への緊急支援を迅速に進めてまいります。
昨日設置した被災者生活支援チームを通じ、国、自治体が一体となって被災地の復旧・復興を迅速に進めてまいります。
各位にあっては、引き続き、被災自治体としっかりと連携し、被災者に寄り添いながら、被災地のニーズを迅速にきめ細かく把握し、対応に万全を期していただくようお願いいたします。」
「今般の平成30年7月豪雨では、今もなお多数に上る安否不明者の捜索に、多くの実動部隊の諸君が全力で当たっております。
昨日、岡山県の被災現場を視察し、凄(すさ)まじい被害の爪跡を目の当たりにいたしました。被災者の方々からお話を直接伺い、一日も早く、安心して暮らせる生活を取り戻すことができるよう、できることは全て行う、その思いを一層強くいたしました。時々刻々と変化する現場のニーズを迅速に拾って即時に対応してください。
猛暑の中、一刻も早く避難所での不自由な生活から脱していただくよう全力を尽くしています。旅館ホテル組合の御協力により、800人分の部屋が受入れ可能となっており、お年寄りなどを中心に既に移られた方々もいらっしゃいます。また、被災地を中心に、公営住宅、UR、公務員宿舎を1万7,000戸、民間賃貸住宅を5万4,000戸、まずは確保いたしました。順次、入居募集が始まります。
町の3分の1が浸水被害に遭った岡山県倉敷市真備町では、24時間体制での排水作業により、宅地や生活道路の浸水はおおむね解消し、被災者の皆さんは瓦礫(がれき)の処理に追われていました。今後、各地で大量の災害廃棄物が発生することが見込まれることから、被災各府県に対し、環境省及び専門家からなる現地支援チームを派遣し、被災自治体の支援を開始しています。今後、災害廃棄物の処理や、被災した処理施設の復旧に対する財政支援を行ってまいります。各位にあっては、自衛隊による運搬や、全国各地の自治体の協力による収集運搬車両の投入、広域処理の調整など、被災者の目線に立って速やかに対応してください。
また、引き続き、物流の復旧が大きな課題ですが、昨夜、11日23時、広島市と呉(くれ)市を結ぶ国道が開通いたしました。呉市の物資の不足に対応するため関係各省が全力で取り組んでください。
政府の被災者支援チーム・職員232人、16都県市から自治体職員154人を被災地に派遣し、復旧・復興活動や罹災(りさい)証明の事務など、被災自治体の支援等に当たっています。各位にあっては、引き続き、現場主義を徹底し、応急復旧、生活の再建に向け、被災者に寄り添いながら、時々刻々と変化するニーズにしっかりと対応していただくようにお願いいたします。」
「今般の記録的な豪雨発生から1週間が経過しましたが、猛暑の中、被災地では本日も実動部隊の皆さんが、安否不明者の捜索に全力で当たっています。
被災者が必要とする物資の緊急調達のため、国の判断によるプッシュ型の支援を進めてまいりましたが、この後の閣議で予備費を約20億円の規模で使用することを決定いたします。また、要望のあった58の被災自治体に対する総額約350億円の普通交付税の繰上げ交付を本日決定いたします。各被災自治体におかれては、財政的に躊躇(ちゅうちょ)することなく、全力で応急対応や復旧対応に当たっていただきたいと思います。
昨日までに、57市町において災害ボランティアセンターが開設され、既に5,500名を超える方々が被災地にて活動されています。心より敬意と感謝を表したいと思います。明日から三連休に入りますので、更に多くのボランティアの方々が被災地に入られる可能性が高いと思われます。必要な安全装備や熱中症対策の体調管理に十分配慮しつつ、被災地のために官民で連携した活動をお願いいたします。
この後、私は愛媛県の被災現場を視察します。被災者や被災自治体の方々から直接お話を聞くことで、現場のニーズを把握してまいります。各位にあっては、引き続き現場主義を徹底し、被災者の目線に立って、被災地の応急復旧、生活再建に全力を尽くしてください。」
「昨日、愛媛県の被災現場を視察し、避難所の被災者の方から、避難所生活の切実な思い、あるいは具体的な要望についてお伺いしてきました。酷暑の中で、家の片付けに当たる被災者の皆さんの御苦労、献身的にそれを支えるボランティアの方々、懸命に対応に当たっておられる関係者の方々に接し、被災された方々の一日も早い生活の再建のため、時々刻々と変化する現場のニーズに即時に対応し、この災害を皆で力を合わせて乗り越えていくことが大切だと感じた次第であります。
被災地の視察を通じ、特に、被災者を支援するための制度をもっと多くの人に知っていただく必要があるとの思いを強くいたしました。例えば罹災(りさい)証明書については、平成27年の関東・東北豪雨や昨年の九州北部豪雨等を踏まえ、政府として、被害認定調査の効率化・迅速化のための取組を平時から進めてまいりました。具体的には、浸水が床上1.8メートル以上であれば全壊、被害が広域にわたるような場合には、当該区域の四隅に立地する家屋をサンプル調査し区域全体を全壊と判定するよう、思い切った簡素化を行いました。
罹災証明書は、仮設住宅への入居、再建支援金などを得るために必要なものです。被災者の生活再建のベースです。こうした制度の周知を徹底し、また、政府や自治体職員の応援派遣を更に増強することにより、少しでも早く被災者の皆さんが罹災証明を手にし、そして生活再建に向けたスタートを速やかに切ることができるよう、全力を尽くしてまいります。
また、被災者の権利を守るため、この災害を特定非常災害に指定することを、本日閣議決定いたします。これにより自動車運転免許の更新ができない方の有効期間の延長などが可能になります。併せて、被災時に生ずる様々な法律問題を無料で相談できる制度(法テラス)を適用できるようにいたします。
本日午前6時には山陽自動車道が全線開通するなど、ライフラインの復旧も一歩一歩進んでいます。私は、明日、諸般の事情が許せば、広島県の被災現場を訪問し、被災状況を視察するとともに、被災者、被災自治体の要望を伺う予定です。引き続き、被災者の目線に立ち、現場主義を徹底し、一日も早い被災地の応急復旧、生活再建に全力を尽くしていきますので、よろしくお願い申し上げます。」
「猛暑の中、時の経過とともに、困難な生活を強いられている被災者の皆さんの状況はさらに厳しさを増しています。生活環境の改善には、特段の意を用いてください。被災地では、停電の解消、山陽道の全面開通などライフラインの復旧が一歩一歩確実に進むとともに、本日から、みなし仮設への入居募集が開始します。生活再建、さらには、生業(なりわい)の再建に一刻も早く道筋をつけることが、被災者の皆さんの最も望まれていることであると思います、そのために全力を尽くしていただきたいと思います。
そうした観点から、激甚災害の迅速な指定に向け調査を進めておりましたが、今般、一連の災害を、激甚災害に指定する見込みとなりました。具体的には、全国を対象に、道路や河川、農地、農林水産業共同利用施設等の災害復旧事業についての補助率のかさ上げ等や、中小企業の災害関係保証についての措置を適用します。その他の分野についても調査を加速させてまいります。被災自治体が財政的に心配することなく、安心して災害復旧に迅速に取り組んでいただき、被災者の皆さんが一日も早く、安心して暮らせる生活を取り戻すことができるよう、全力を尽くしてまいります。
なお、本日の広島訪問は、小此木大臣にお願いすることとなりました。私は後日、必ず広島を訪問いたします。引き続き、被災者の目線に立ち、現場主義を徹底し、一日も早い被災地の応急復旧、生活再建、そして生業の再建に全力を尽くしていきますので、各位にあってもよろしくお願いいたします。」