衆議院選挙の台風の目となっている希望の党は3日午後、第一次公認候補192人を発表した。希望の党は今後の追加公認とあわせ、衆議院の過半数233人以上の候補者を擁立する方針。
若狭前衆院議員「非常に今後の政権交代を目指すということが、十分可能な状況になってきていると思います。出身母体は違うにせよ、一致団結して、あるいは力を合わせて、この選挙戦を何が何でも今の国政政治を変えていくという思いで選挙戦を戦っていきたい」
希望の党は立憲民主党の枝野代表や菅元首相、長妻元厚労相などの選挙区には対抗馬を擁立した。一つの選挙区に複数の野党候補が立候補すると与党を利する可能性があるが、希望の党は立憲民主党との対決姿勢を見せている。
一方で、野田前首相や岡田元代表、安住元財務相など無所属で立候補する民進党の前議員の選挙区には候補者を立てていない。
関係者によると、民進党の前原代表は「無所属で出れば希望の党から対抗馬を立てないので立憲民主党には加わらないでほしい」と説得したということだが、それを裏付ける形になっている。
希望の党が公認候補と取り交わした政策協定書の全文は次の通り。
希望の党 小池百合子代表殿
政策協定書
私は、希望の党の公認を受けて衆院選に立候補するに当たり、下記事項を順守すること、当選した場合には希望の党の所属する会派に所属して国会活動を行うこと、希望の党党員として政治活動を行うことを誓います。
記
1、希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
3、税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての国民に行き渡る仕組みを強化すること。
4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
5、国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること、および、いわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き上げを凍結すること。
6、外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
7、政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
8、希望の党の公約を順守すること。
9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
10、選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。
年 月 日
第48回衆院選 立候補予定者(署名欄)
◇前原代表について「名も実も魂も取られてしまうのでは…」
細川護熙元首相は2日、毎日新聞のインタビューで、小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党について「(安倍政権を倒す)倒幕が始まるのかと思っていたら、応仁の乱みたいにぐちゃぐちゃになってきた。政権交代までいかなくとも、せめて自民党を大敗させて、安倍晋三首相の党総裁3選阻止まではいってもらわないと」と語った。小池氏が衆院選に立候補する可能性は「恐らくないだろう」とも述べた。
小池氏は日本新党結党以来、折に触れ、細川氏からアドバイスを受けてきた。希望の党の公認を巡り、リベラル勢力や首相経験者を選別することに「同志として小池氏を手助けしたいと考えてきたが、排除の論理を振り回し、戸惑っている。公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方で『寛容な保守』の看板が泣く」と強く批判した。
同じく日本新党出身の前原誠司民進党代表については「名を捨て実を取ると言ったが、状況をみていると、名も実も魂も取られてしまうのではないかと心配になる」と述べた。
さらに自身が日本新党を結成したことを振り返り「政権交代という大目標に立ち向かうときは怒濤(どとう)のように攻め立てなければ成功しない」と、候補者擁立などで混迷する「小池の乱」に苦言を呈した。ただ、「首相を目指すのであれば、保守やリベラルにこだわらず、器量の大きい人でいてもらいたい」と、門下生への思いやりもにじませた。【鈴木琢磨】