民進党が27日、発足した。野党勢力を結集し、夏の参院選で「自民1強打破」を目指す。ただ、内実は民主党を離れた議員の「復党」との色合いが濃く、民主系、維新系双方で不満がくすぶる。内紛の火種を抱えながらのスタートで、党の結束維持が課題との事情は変わらない。
「われわれは政権与党として、大事なときに結束できず、離合集散を繰り返したことを深く反省する」。都内のホテルで開かれた結党大会。初代代表となった岡田克也氏はあいさつで、政権担当時の党分裂という苦い歴史に言及し、結束を訴えた。
◇参院選前の混乱回避
民進党に参加した維新の衆院議員21人のうち、代表だった松野頼久氏を含む10人が、野田内閣の消費税増税方針を批判して党を去った「出戻り組」だ。松野氏は大会で、合流協議の際、民主党に解党や党名変更を要求したことに触れ、「支持率1、2%の弱小政党のくせに大変失礼なことを申し上げた」と頭を下げた。とはいえ、維新は円満合流と党名変更を勝ち取り、得たものは大きいともいえる。
民主党内には、「出て行った人間を復党させるために党名を変えるのか」(中堅)といった反発や、参院選前の代表選実施を求める意見があった。合流の過程で反対意見が少数にとどまったことについて、夏に改選を迎える民主党の参院議員は「合流には納得していないが、選挙の前に騒ぐのは最悪だ」と漏らす。
◇消費税で対立再燃も
一方の維新系。民進党内の勢力は民主系の5分の1にとどまる。新執行部では江田憲司前代表が代表代行に起用されたものの、それ以外の主要ポストは民主系が占めた。維新系の若手議員は大会後、「数で劣ると声が小さくなる」と埋没への不安を口にした。
民主系の党幹部は「合流までの協議で、維新との政策の溝は埋まった」と強調する。しかし、来年4月の消費税率10%への引き上げをめぐっては、結党前から足並みの乱れが露呈していた。
松野氏は25日、維新代表として最後の記者会見で、消費増税凍結法案を野党共同で提出すべきだとの考えを改めて示し、「民進党の中でも声を上げていきたい」と語った。これに対し、岡田氏ら党幹部は増税再延期に慎重な姿勢を崩しておらず、今後の対応によっては、対立が再燃する可能性もある。
維新系議員は今後、前原誠司、細野豪志両氏ら考え方の近い民進党内保守派の各グループとも連携しながら発言力を確保していく方針。「われわれは岡田代表の『次』を狙っている」。維新系中堅議員は大会後にそう語り、9月の代表選で「ポスト岡田」候補を擁立することも視野に、準備を進める考えを示した。
「新進党…。民進党をスタートさせよう」。27日の結党大会では岡田氏があいさつで、かつて所属し解党の憂き目を見た旧新進党と言い間違え、失笑を買う一幕もあった。分裂と結集を繰り返す野党のイメージを払拭(ふっしょく)するには、やはり一体感の醸成が課題となりそうだ。