江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

原初の言葉

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原初の言葉


母は、子に
乳をふくませ
何かをささやく

他に知らせることもなく
他に知られることもなく

ひたすら
我が子に
ささやき続ける

その子の父親であろう
男にすら
わからぬように

母のささやきは
二人の心を繋ぎ
結ばれた二つの心は
「言葉」を手にする

母は、子に言う
「逃げなさい」
子は、母に言う
「さようなら」

そのような繰り返しが
何万年続いたことだろう
大河のような涙とともに

だが人々は
何万年にもわたり
繰り返された涙の別れを忘れ

母の悲しみを忘れ
子の悲しみを忘れ
人々は
原初の言葉の悲しみを忘れ
ケモノへと帰る