江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

おふざけ読物 『ブログ・ハイジャッカー』 (その5)

 

皆さん、お早うございます。

 

 

五島地方、今日は、雨模様でスタートです。

 

 

ところで、シカリさんのブログ、愚痴ネタも枯渇気味で、「何か他の物を」と考えた挙句、10年以上昔(ヤフーブログにお世話になっていたころ)に書いた読物をアップしようと思いつきました。

 

 

江戸時代と現代をゴッチャにしたような、ふざけた読み物です。

 

 

登場人物では、書いた当時のお笑い芸人をもじった人などが登場しますので、若い人たちには理解できないかもしれませんね。御免なさい。

 

 

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「ブログ・ハイジャッカー」(その5)

 

 

15、これって繁栄?

 

 工事が始まって2ヶ月を過ぎ、五島藩への苦情は相変わらず続いていたが、現地、三井楽はこれまでにない賑わいぶりであった。

 

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 他でもないアドメニア合衆国の軍人達が、三井楽の食堂に出入りするようになったのである。

 やがて、様々な飲食店が出来ていった。

 真っ先に出来たのが、居酒屋「ぶんちゃん」という一杯飲み屋であった。続いて、キレイどころを集めたスナック「レイチェル」、和食どころ「よし」。

 

 

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 飲食店ばかりでなく、骨董品などを扱う「古ー事」、漢方医学で治療する「ガマ医院」。

 4ヶ月も経つころには、パチンコ店「オニヨメプラザ」、そして、その横には、消費者金融「シカリ」まで出来ていた。

 

 こうした所には、軍人達だけでなく、地元で農地を売り敷地造成に雇用されなかった年老いた農民達や漁業の不漁で補償を受けた漁民達も出入りするようになっていた。

 

 三井楽の昼間は、「オニヨメプラザ」の界隈だけが、やけに人通りが多く、かつてのように、通りで農産物・魚介類を売り買いする人々の姿は、全く見られなくなった。「古ー事」には、軍人達が訪れては珍しいものを買い入れ、アドメニア合衆国にいる家族に送っていた。

 パチンコで勝った人たちは、そのまま「ぶんちゃん」や「よし」に入り、一時すると「レイチェル」に流れ込むのである。

 やがて、「レイチェル」で盛り上がった人々も自宅へ帰る時間となるのであるが、店の横にある空き地では、まだ帰りたくない軍人や地元の人達が憂さ晴らしに喧嘩を始める始末。したたか打ちのめされ怪我をした飲兵衛どもは、「ガマ医院」に運び込まれるのであった。

 いかに屈強な漁師や農民たちも軍人達に手出しも出来ず、ちょっかいを出しては殴られる、ちょっかいを出しては殴られる、の繰り返しであった。

 三井楽は、農業や漁業の村ではなく、歓楽街となったのである。

 

 敷地造成が始まって半年もすると工事も終わりに近づいたのか、人夫の数も徐々に減らされ、平らな広い道路のような所に砂と石灰のようなものを混ぜて流し込む作業が行われていた。

 これまで造成に関わってきた多くの農民は解雇され、鉄条網の外へと解放されていた。

 こうした農民の多くは家を新築したり、先祖代々の墓を新しく作ったりで喜んだものの、仕事が終わってしまうと他にすることも無く、パチンコ店に出入りするしかなかった。

 現地で三井楽の状況を把握するために滞在している盛次にとって、この賑わいを手放しで喜んでよいものか、複雑な心境であった。

                     

 

16、補償額など

 

 寛永18年12月。

 五島藩家老の七里善喜は、この半年の被害補償額の集計を行い愕然としていた。

 

     赤瀬漁場 5,400両(3網分)

     一般農民   50両

     一般漁民  600両

 

 合計して、6千50両に上っていた。1両を約10万円で換算すると、6億500万円になるのであった。

 報告を受けた盛利は、その額に実感を持てなかった。

 

 「七里、赤瀬漁場の補償は、途方も無く大きいのー。」

 

 「はい。確かに。しかし、内訳はこのようになっておりまして、間違いはございません。」

 

    1網・・・船10艘、漁民30人従事、1回の水揚額20両

    6ヶ月・・1網の網揚げ回数90回

    補償額・・20両×90回×3網=5,400両

    

 「ふむ。赤瀬漁場は、これほど大きなものであったのか。じゃが、この計算で行くと、幕府から受け取った6万両は、たちまち、なくなるではないか。」

 

 「はい。これは半年での被害補償額ですので、現在のペースで推移いたしますと5年も持ちませぬ。」

 

 七里の言葉に、一堂、つばを飲み込んでいた。

 

 「あー、いや、いや。そうは言いましても、もう、工事も終盤のようでございますゆえ、被害補償が長く続くとは考えられませぬ。」

 

 「そ、そうか。終わるのか。」

 

 盛次の工事は終わるとの説明に、盛利は胸をなでおろすと同時に、無意識に浮かせていた腰を下ろし、一堂を見渡した。

   

 「皆、本年は何かと気苦労の多い年であった。本当に、ご苦労であったのー。僅かではあるが、餅代を支給するゆえ、家族そろって良い年を迎えるように。それでは、七里、後は頼むぞ。」

 

 安心した盛利は、家来達に餅代を支給する約束をすると、そそくさと自室に帰っていった。

 

 一方、江戸の「藩制問題研究所」では、冬のボーナスではなく、退職金の話しが行われていた。

 

 「二人とも、これまで色々お世話になった。私ね、年が明けるとアドメニア合衆国に留学しようと考えているんだ。それで、この事務所も今月限りということで、これ退職金だ。受け取ってくれ。」

    

 「・・・・。」

 

 

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 「僕も妻の実家の農場を手伝うことにしたので、やめようと思っていたんですよ。」

 

 いつも誰よりも大騒ぎする西山須美子は、一人、呆然としていた。やがて、隠元から手渡された包みを開け、のけぞるように驚くのであった。

 

 「社長。こ、こんなに頂いていいんですか?えー、と。500両ですけど・・・。」

 

 「え?これ、そんなに入っているの?」

 

 「この1年数ヶ月の我が社の働きは、それだけの価値があったということだ。すまんが、会社の解散を理解してくれ。幸い、無題君は、奥さんの実家に行くというから、良かったが、西山君は、どうする?」

 

 「・・・、今日は忘年会のことでも話そうかな、なんて、思っていたんですから、会社を辞めて何をするか、なんて言われても・・・。」

                   (つづく)

 

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今日も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

 

今日一日が、皆様にとりまして、素晴らしい一日となりますようお祈りいたします。

 

 

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<1月13日の誕生花>

カトレア

花言葉:優美な貴婦人、成熟した大人の魅力、魔力、魅惑的

 

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