おふざけ読物 『ブログ・ハイジャッカー』 (その6・完)
皆さん、お早うございます。
五島地方、今日は、曇り空でスタートです。最近の天候は、難しいですね。昨日は、ブログのアップにとりかかった時には曇りで、アップが終わり外を見たら雨が降り出していて、あわてて書き直しましたよ。^^;
さて、江戸時代と現代をゴッチャにしたような、ふざけたこの読み物ですが、いよいよ最終回を迎えました。このあとは、どうしよう・・・。
登場人物では、書いた当時のお笑い芸人をもじった人などが登場しますので、若い人たちには理解できないかもしれませんね。御免なさい。
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「ブログ・ハイジャッカー」(その6・完)
17、飛行場現る
寛永19年1月末。
五島藩は、朝から途轍もなく大きな音で覆われていた。それは、朝日とともに東南の方角から、キラキラ光る物体が連れてきた音だった。
ゴー、ゴー、ゴー、ゴー、ゴー。
次から次に、飛んできた。
それらの全ては、三井楽の鉄条網の中に滑り込んで行くのだった。敷地は、きれいに整地され、長い広い道路のようなものも、すっかり、固められ、そこに降りてきているのであった。
工事が、終わったのである。
やがて、その空から舞い降りてきた銀色の鉄の塊は、整地された敷地に整然と並び始めた。
夕方までには、百を超える塊が整列した。
翌日、盛次は朝一番に盛利への報告に訪れた。
「父上、昨日の物体は、ジェット戦闘機とか申すものと、輸送機とか申すもので、敷地はそれらの基地として使われるとのことです。アドメニア合衆国空軍の基地となるとのことです。」
「なに?基地になる?そうなると、毎日、あのような大きな音で悩まされるのか?」
「はい。どのような事を行うのか、詳しくはわかりませんが、訓練も行うとのことで、ほぼ毎日、飛び立っては、降りてくるという繰り返しになるとのことでございます。」
「それは、困るのー。藩内の人々も、不安であろうし、うるさくて昼寝も出来ないではないか。のー、木場、どう思うか。」
「あれだけの音、魚達が怯えて、漁に響くようなことが無ければよいのですが・・・」
一方、三井楽の歓楽街は、ジェット戦闘部隊の配属で、さらに活気付いていた。
スナック「レイチェル」では、江戸から来たという娘も働くようになっていた。
「江戸で失業し、五島に遊びに来て居ついた娘は、何処のどいつだい?アタシダヨッ!悪いかい?江戸なんて、冷たいもんさ、使うだけ使って、ある日、首だからね。まあ、お金はたんまり貰ったけど、遊んでばかりいても面白くないし、ここのママ良い人だし、働くことにしたんだよッ!で、あんた、誰よ!え?シカリ?何してんの?パチンコ店の横の消費者金融?へー、儲かってんの?なんか、怪しいけどね~。」
「最近、客が増えてね。なんかね、補償で貰った金が底付いたみたいで、オニヨメプラザで負けた客が来るわけよ。お陰様。」
「あこぎなまねしてるんじゃないの?」
「とんでもない。うちは、良心的な店ですから。それより、あんた名前は?」
「あたし?口説こうってわけ?西山須美子って、言うの。わかった?」
「なんか、聞いたことある名前だけど。パクってない?」
「どうだって、良いじゃない。あたしね、フルーツ好きなのよ、頼んで良い?」
「頼むのは良いけど、最近、やたら高くなってないか?ねえ、ママ。」
「そりゃあ、そうよ。あれだけ外人さんが来て、何でもかんでも買いあさるんだから、高くなるわよ。ほら、補償金を使い果たした人たち、自分ちで食べる米や味噌まで売っているんだって。どうするんだろうね。」
18、何をハイジャックされていたのか
「ところで、西山さん、なんで江戸から、こんな田舎に来たわけ?」
「なんでって、前の会社の同僚がね、ここ、来たことがあるわけ。で、とっても良いとこだって言うもんだから、遊びに来たわけ。しっかし、おじさん、よっぽどアタシのこと気になるんだね。」
「ああ、珍しいじゃないか。店が終わったら、どう、食事でも。」
「奢ってくれるの?だったら、和食どころ『よし』で、刺身食べたいよ。」
「そうか。じゃあ、後で行こうか。しかし、その会社、何してたんだい?」
「そうね。色んな藩の運営のコンサルティングとかやっていたわけ。でもね、2年位前から、ここの藩の調査とか、藩主のブログにちょっかい出したり、訳のわからないことばっかり。でもね。アタシ、気づいたんだけど、アドメニア合衆国の手先みたいな仕事していたんだと思うの。社長が言っていたんだけど、ここの藩主は人が良くて、簡単に乗っ取ることが出来たんだって。」
「何を乗っ取ったんだって?」
「あのね。ブログを通じて、殿様の心を乗っ取ったんだって。」
「さっきから、ブログとか言っているけど、何?それ?」
「あ、そうか。皆さんは、パソコンとか知らないんだ。」
「は?パソコン?」
「ま、いいか。とにかくね、ここの殿様は、うちの社長に心を乗っ取られたわけ。だから、土地を買い取られてしまったでしょう?」
「そうなんか。ワシらには関係ないけどね。お陰で、儲けさせてもらっているし。しかし、あの殿、バッカだなー。補償で潰れるよ。」
「バッカだなー、なんて呑気なこと言ってていいの?この藩がつぶれて困るのは、あんたらじゃないの?」
「困るもんか。藩がつぶれても、おいらは生きていけるし、年貢を上げるなんぞ言い出したら、江戸にでも出て行くさ。」
木場半兵衛の心配が、具体化したのは間もなくのことだった。
「殿、三井楽の漁民から、ジェット戦闘機の音で、魚が寄り付かなくなって、漁が出来なくなり生活に困っているとの申し立てが出ております。」
「なに?また、補償か?」
「はい。三井楽だけでなく、岐宿や玉之浦の漁民も漁が出来なくなったと申し立てが出されております。」
盛利は、それ以上、聞くこともなく自室へ引き込んで行った。
自室に篭った盛利は、習慣なのか自分のブログをぼんやり眺めていた。一時すると、つばき姫が入ってきた。
「殿、大変なことになっておりますようで、御心労のことでござりましょう。」
「うむ。なんとも、迂闊なことじゃった。生活できなくなった農民達は出て行くし、漁民も漁が出来ないと言うし、物の値段は高くなるし、困ったもんじゃ。」
「殿とて、良かれと思ってなされたこと。過ぎてしまったことは、いたし方ござりませぬ。三井楽では、新しい商売が繁盛していると聞いております。」
「確かに。しかし、新しい商売が繁盛しても、他の領民に迷惑を掛けることになってしまった。それに藩の財政が立ち行かなくなるのは、眼に見えておる。そこをワシの力では、どうしようもないのじゃ。」
「殿は、殿なりに尽くされたのです。お疲れならば、後は、盛次に託しては如何でござりますか。」
つばき姫の言葉を聞きながら眺めているブログには、久しぶりに無題と言う者からのコメントが書き込まれていた。
- 人間万事塞翁が馬、推枕軒中雨を聴いて眠る。 -
相変わらず、理解できないコメントではあるが、盛利は、何か温かいものを感じていた。
五島藩第22代当主盛利が退き、第23代当主に盛次がついたのは、この寛永19年のことであった。
(完)
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今日も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
今日一日が、皆様にとりまして、素晴らしい一日となりますようお祈りいたします。
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<1月14日の誕生花>
花言葉:遠慮、気後れ、内気、はにかみ