ある日、五島藩主・盛利のブログにこれまでにない訪問者が訪れた。
これまで、1日に10人程度の訪問者だったのが、この日は、なんと200人
も訪れていたのである。
盛利も家来達も大喜び。しかし、そこには大きな仕掛けが・・・。
「どうじゃ、これは大したものじゃ。余がアップしておった写真が
よかったのかのー。」
「殿、それもございますが、殿の文章がよろしかったのではござらぬか。」
「そうか。余の文章もよいか。どうじゃ、つばき姫。大したものであろう。」
姫は、何も答えることはなかった。
つばき姫にとって、盛利がブログに熱中することに不満はなかった
ものの、手放しで喜べるようなことではなかったのである。
盛利が、ブログを始めたのは2ヶ月前。
それまでは、生活も不規則でパチンコ三昧。
それというのも、五島藩は財政的に苦しく、これといってすることも
なかったのである。
つばき姫に小遣いをせびっては、1日に1両も2両も使い果たし、
挙句の果てには、五島藩伝来の掛け軸を家来に持たせて質屋に入れる始末。
こうした盛利の放蕩ぶりに業を煮やした姫は、ついに切れた。
「殿は、米も作りませぬ、魚も釣りませぬ。私どもの生活費は、
領民からいただいた年貢でまかなっているものでございます。それは、
よくご存知のはずでございましょう。それにもかかわりませず、
殿の一日は、パチンコ三昧。姫は、領民に申し訳が立ちませぬ。
どうか、もそっと世間のことをお勉強なさりまして、藩のために、
領民のために、なにとぞご活躍くださりませ。」
これが、2ヶ月前のことであった。 (つづく)