江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

ブログ・ハイジャッカー(第1話)

ある日、五島藩主・盛利のブログにこれまでにない訪問者が訪れた。

これまで、1日に10人程度の訪問者だったのが、この日は、なんと200人

も訪れていたのである。

盛利も家来達も大喜び。しかし、そこには大きな仕掛けが・・・。



「どうじゃ、これは大したものじゃ。余がアップしておった写真が

よかったのかのー。」

「殿、それもございますが、殿の文章がよろしかったのではござらぬか。」

「そうか。余の文章もよいか。どうじゃ、つばき姫。大したものであろう。」


姫は、何も答えることはなかった。

つばき姫にとって、盛利がブログに熱中することに不満はなかった

ものの、手放しで喜べるようなことではなかったのである。



盛利が、ブログを始めたのは2ヶ月前。

それまでは、生活も不規則でパチンコ三昧。

それというのも、五島藩は財政的に苦しく、これといってすることも

なかったのである。

つばき姫に小遣いをせびっては、1日に1両も2両も使い果たし、

挙句の果てには、五島藩伝来の掛け軸を家来に持たせて質屋に入れる始末。




こうした盛利の放蕩ぶりに業を煮やした姫は、ついに切れた。



「殿は、米も作りませぬ、魚も釣りませぬ。私どもの生活費は、

領民からいただいた年貢でまかなっているものでございます。それは、

よくご存知のはずでございましょう。それにもかかわりませず、

殿の一日は、パチンコ三昧。姫は、領民に申し訳が立ちませぬ。

どうか、もそっと世間のことをお勉強なさりまして、藩のために、

領民のために、なにとぞご活躍くださりませ。」



これが、2ヶ月前のことであった。   (つづく)