江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

おふざけ読物 『ブログ・ハイジャッカー』 (その1)

 

 

皆さん、お早うございます。

 

 

五島地方、今日は、雲の多い空模様でスタートです。

 

 

ところで、シカリさんのブログ、愚痴ネタも枯渇気味で、「何か他の物を」と考えた挙句、10年以上昔(ヤフーブログにお世話になっていたころ)に書いた読物をアップしようと思いつきました。

 

 

江戸時代現代ゴッチャにしたような、ふざけた読み物です。

 

 

登場人物では、書いた当時のお笑い芸人をもじった人などが登場しますので、若い人たちには理解できないかもしれませんね。御免なさい。

 

 

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「ブログ・ハイジャッカー」(その1)

 

 

1、はじまり

 

 ある日、五島藩主・盛利のブログにはこれまでにない訪問者が訪れていた。

 これまで、1日に10人程度の訪問者だったが、この日は、なんと200人も訪れていたのである。

 盛利も家来達も大喜び。

 だが、そこには大きな仕掛けが・・・。

 

 「どうじゃ、これは大したものじゃ。余がアップしておった写真がよかったのかのー。」

 

 「殿、それもございますが、殿の文章がよろしかったのではござらぬか。」

 

 「そうか。余の文章もよいか。どうじゃ、つばき姫。大したものであろう。」

 

 姫は、何も答えることはなかった。

 つばき姫にとって、盛利がブログに熱中することに不満はないものの、手放しで喜べるようなことではなかったのである。

 

 盛利が、ブログを始めたのは2ヶ月前。

 それまでは、生活も不規則でパチンコ三昧。

 それというのも五島藩は、城も無い小さな藩で、これと言ってすることもなかったのである。

 つばき姫に小遣いをせびっては、1日に1両も2両も使い果たし、挙句の果てには、五島藩伝来の掛け軸を家来に持たせて質屋に入れる始末。

 

 こうした盛利の放蕩ぶりに業を煮やした姫は、ついに切れた。

 

 「殿は、米も作りませぬ、魚も釣りませぬ。私どもの生活費は、領民からいただいた年貢でまかなっているものでございますぞ。それは、よくご存知のはずでございましょう。それにもかかわりませず、殿の一日は、パチンコ三昧。姫は、領民に申し訳が立ちませぬ。どうか、もそっと世間のことをお勉強なさりまして、藩のために、領民のために、なにとぞご活躍くださりませ。」

 

 これが、2ヶ月前のこと。

 

 

2、ブログの楽しさ

  

 まさか、自分のブログを誰かにコントロールされているなんて、誰だって、考えもしないだろう。

 

 ときは、寛永17年6月。

 

 つばき姫に、一喝された盛利は、ただ、おろおろするばかり、なにせ、自分の親にすら叱られた事がなかったのだから・・・。

  

 これまで、自らの意思で何かに挑戦するということもなかった盛利は、姫から注意を受けたからといって、変わりようもない様子だった。

 それを見かねたのは、嫡男・盛次(もりつぐ)。

 

 「父上、インターネットでも始めてはいかがですか。あちこち、お出でにならなくとも、世の中のことが手に取るようにわかるのですよ。」

 

 「そうか。折角の盛次の勧めじゃ、やってみようかのー。」

 

 早速、盛次のパソコンを借りてインターネットというものを体験することとなった盛利。

 

 「何やら、面倒じゃのー。」

 

 「すぐに、慣れますよ。」

 

 息子に手ほどきを受けながら、4・5日過ぎたころ。

 

 「この、ヤッホーの一覧にブログなどというものがあるが、これはなんじゃ。」

 

 「ブログは、巷の人々が書く日記のようなものでござる。」

 

 「ほう、巷の人々は、日記を書いておるのか。賢いものじゃな。どのようにすれば、見ることができるのかな。」

 

 盛次は、ブログの利用手続きを一通り済ませ、いつでも盛利が参加できるように準備した。

 

 「なんじゃ、このアイデーナンバーとかパッスワードは、いつも打ち込む必要があるのか。わしは、物覚えが悪いからのー。」

 

 「父上、それは大事な番号ゆえ、どこぞに書き留めておかれよ。さすれば、お忘れになられても、いつでも見ることができますゆえ。」

  

 ふんふん、と素直に盛利は、メモをしている。これまでにない態度であった。やがて、ブログに見入ったのか、何も言わなくなり、少し暑いのか扇子でパタパタと胸元をあおいでいる。

 

 それ以来、ブログをランダムで見ては一喜一憂する盛利だった。

 

 「のう、盛次、このルピア姫なるお方は、とても苦労をされているようじゃのぅ。こうやって読んでおっても涙が出てきそうじゃよ。ブログというものは、読むことは出来ても何も手伝うことは出来んし、なにか、歯がゆいものじゃのー。」

 

 「確かに。ただ、お互いのブログを読んだり、意見を書き込んだりしているうちに、意気投合したものたちは、オッフ会なるものをもようし、会いに出かけては、世間話をしたり、お茶なぞを一緒に飲んだりしているよしにございます。」

 

 「そうか、オッフ会か。わしが行っても良いのか?」

 

 「それは、ブログでの長い付き合いで信用されないと難しいのではないかと思いますが。」

 

 「なるほど、信用か・・・。わしは、母上にも信用されておらんからのー。」

 

 「父上、母上は信用していないのではなく、父上の奮闘振りが見たいのでございます。」

  

 このようなやり取りがあって、さらに数日後。

 盛次は、父盛利に呼ばれた。

 

 「どうじゃ、盛次、ほれ、これがわしのブログじゃ。」

 

 なんと、盛利はひそかに自分のブログを開設していたのである。

 盛利の話によると、家来の木場半兵衛の力を借りて自分のブログを開設したのであった。

  

 「なかなか、人が訪れてくれるものではないのー。じゃが、のう、この武田隠元とか申すもの、たびたび来ては、何かしら声をかけてくれているのじゃ。ありがたいのー。」

  

 盛次は、父のブログ開設に驚くばかりで、誰がコメントを残してくれたかなど気にも留めなかった。

 

 いろんな人が訪れ、いろんな人がコメントを残してくれる。

 ブログとして、当たり前のことであるし、武田隠元なるものが何者であるか、この時点では、誰も知らないし、誰も気にしていなかったのである。

 

 

3、藩制問題研究所

 

 場所は変わり、ここは江戸。時は、寛永17年1月。

 

 江戸にある武田隠元の「藩制問題研究所」には、あるプロジェクトが持ちかけられていた。

 

 「今回は、ちょっと大きなプロジェクトだ。無題君、君は五島藩の資料を集めてくれないか。」

 

 社長の武田隠元は、部下の無題勝山に新たなプロジェクトの下準備を指示していた。

 

 「どんなプロジェクトですか。」

 

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  無題は、聞いた。

  

 「すまんが、まだ、君達にも話すことは出来ないんだ。」

 

  すると、秘書の西山須美子が心配そうにつぶやいた。

 

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 「私ゎ、なんとなく、そのルート知っているわけよ、で、ちょっと、気になるわけ。でも、これも仕事だし、なんとか処理しないといけないわけよ。でも、でも、やっぱり怖いルートだって思うわけ。え?怖がっているのは誰だって?あたしだよ!!」

 

 「パッパパヤーパー、パッパパヤーパー、パヤパー、パッパパヤーパー。私は~、五島藩に~行きます~~。五島藩に~行って~~、五島藩の事を~調べます~~。五島藩の~昔から~~、現在のことまで~~、調べて来ます~~。そして~、それを~~A4の用紙に~横書きにして~~、レポートとして~~、社長に報告します~~。」

 

 「あんたは、呑気だよ。なんでも上から下に流したり、左から右に流せば良いってもんじゃないんだよ。」

 

 そんな社員達のやり取りを聞きながら、社長の隠元は悩んでいた。いわゆるコンサルタン業を営んでいる隠元にとって、毎月の営業に困るようなこともなく、それなりに成果は収めている。二人の社員と自分の生活を保障するには、現在のレベルの事業で十分といえば十分であった。

 

 今回のプロジェクトが成功すると、それこそ見たこともない巨額の資金を手にすることが出来る。しかし、コンサルタント業として扱ってきたこれまでの案件とは、まったく性格の違う事業であり、その結末は到底自分たちの手の届くレベルのものではないことはわかっていた。それだけに、得体の知れない不安が胸をよぎるのであった。

 

 そもそも、今回のプロジェクトは、隠元がアドメニア合衆国に留学中に知り合ったボッシュから、持ちかけられたものであった。

 ボッシュは、現在、アドメニア合衆国国防総省の極東戦略研究所の研究員である。

 そのボッシュから電話があったのは、寛永16年11月のことだった。

 

 「隠元、元気にしているかい?ちょっとしたビジネスの話があるんだけど、会ってもらえるかい?」

 

 「ああ、久しぶり。お前の言うことだから、何時でもいいよ。」

 

  電話が終わって、数分もするとボッシュはやって来た。 

 

 「おい、おい、ちょっと早過ぎないかい?」

 

 「ああ、いや、すまん。断られても来るつもりで、昨日、日本には来ていたんだよ。昨夜は、新宿2丁目で楽しんじゃったよ。」

 

 「まだ、そんな遊びやっているのか。それで、話しというのは・・・。」

 

 「そうだな、ちょっと場所を変えたいんだが。」

 

 「じゃあ、近くで昼食でも一緒にするか。」

 

 隠元はそう言うと、社員には何も告げずボッシュを連れて出て行った。

 

 隠元が、帰ってきたのは4時間ほど過ぎた、もうすっかり夕暮れた頃だった。

 夕暮れの江戸は、煮売屋(にうりや)が天秤棒を担いで売り歩く声や、店を構えた煮売屋の呼び込みの声で賑わっていた。

 当時の江戸は、各藩から出張している下級武士や出稼ぎ人夫が多く、それらの人々は当然単身赴任であったため自炊をしており、惣菜などを買い求めることが多かったのである。

 煮売屋があつかっていたのは、煮魚、野菜の煮しめ、煮豆、焼き豆腐など、手っ取り早くおかずになるものであった。

 そうした売り手買い手の喧騒を背に、隠元は帰ってきた。

 事務所に入った隠元は、社員に話しかけることもなく、無言のまま机に座ると、窓越しに江戸城に眺め入ってしまった。

  

 「社長、私達帰りますね。」

  

 そう秘書の西山が告げても、隠元は振り返ることもなかった。

                                                                (つづく)

 

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今日も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

 

 

今日一日が、皆様にとりまして、素晴らしい一日となりますようお祈りいたします。

 

 

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<1月9日の誕生花>

ハコベ

花言葉:ランデブー、愛らしい

 

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