安倍晋三率いる自民党は、地方議会でも腐りきっている
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2015年度に5兆数千億円の運用損失を出し、10年度以来5年ぶりに赤字となることが1日、明らかになった。14年秋から運用割合を増やした株式の価格下落の影響が大きく出た。ただちに年金支給額が変動することはないが、15年度末に比べ株価はさらに下落しており、厳しい運用状況が続きそうだ。
GPIFは、国民年金と厚生年金の保険料収入からの積立金約140兆円を運用。平均で年金給付額の9%を賄っている。株価の押し上げ効果を狙う首相官邸の意向などを受け、14年10月に資産の構成割合を変更。24%だった株式比率を50%にまで引き上げ、国債などの比率を下げた。この結果、株価の影響を受けやすくなり、12~14年度は計約37兆円の収益を上げていたが、15年度は5兆円規模の損失を出した。
今後も運用には厳しい局面が予想される。今年3月末(15年度末)に1万6758円だった日経平均株価は、英国の欧州連合離脱問題などの影響で6月末には1万5575円に下落。今年度の運用損失は一層膨らむ可能性があるが、塩崎恭久厚生労働相は「短期的な変動に伴う評価損はありうるが、長い目で見て必要な年金額を確保するという観点で運用している」と説明する。
野党は株式比率を元に戻すように主張しているが、政府は見直しに慎重な姿勢だ。GPIFの関係者は「マイナス金利の影響で、株式と債券の比率を元に戻せば目標とする利回りを確保できない恐れがある」と話す。今後の年金支給額については「10年以上にわたり大幅な損失が続くといった状況がない限り影響はない」という。
一方、GPIF決算に対し、野党は批判を強めている。民進党は運用実績の公表時期を参院選後の29日に設定したことを問題視しており、枝野幸男幹事長は横浜市の街頭演説で「毎年6月30日までに厚労相に報告されたら、7月の頭に公表することになっているが、なぜか今年だけ先送りしている。参院選が終わってから、大損していることは国民に伝えよう、というのが安倍政権の姿勢だ」と批判。「政府の情報隠し」と位置付け、参院選の争点の一つにする姿勢だ。
これに対し萩生田光一官房副長官は記者会見で「現在精査中で(損失額は)確定はしていない」とし、公表日について「7月中ということは慣例的にずっと続いていて、恣意(しい)的に(公表日が)動くという誤解があってはならない。参院選には関係ない」と反論した。
安倍政権下で株式での運用割合が増加したことも論点。民進党の岡田克也代表は1日の記者会見で「リスクの高い運用だと我々が心配した通りの状況になりつつある。将来の年金減額につながりかねない深刻な問題だ」と懸念を示した。【阿部亮介、松本晃】