江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

醜い老婆

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なんか、すっかり春めいてきましたね。
桜なんか、咲いている所もあるみたいですよ。

本日のご来場の皆さんへのサービスとしまして、
素晴らしい写真をご紹介しますね。

ワシが、お気に入りにしているタロウさんの写真です。
とっても、綺麗ですよ。
あ、あのー、必ず、帰ってきてね。

あまりの美しさに、感激して、そのまま退場しないようにね。
見てください。(↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/jyukunentarou2006/40459824.html
醜い老婆


ひなびた商店街の歩道を
手押し車を押して
老婆が行く

小さく丸まり
背中は右に曲がり
顔は、皺だらけの上に
酷くゆがんでいる

頭には汚れた
タオルが置かれ

行き交う人々は
何か、汚いものでも見るように
その老婆に道を空け

私は、思わず立ち止まり
手押し車に置かれた
老婆の手に見入っている
黒ずんだ手は
当然のように皺だらけで
爪の先は指を覆うように丸まっている

どのようにして増えた皺なのか
どのようにして曲がった背中なのか
どのようにして丸まった体なのか
どのようにして歪んだ顔なのか

歪んでいく顔を、鏡で見ることはあったのだろうか
丸まった体を、伸ばしたいと思ったことはないのだろうか
曲がった背中に、痛みはないのだろうか
増えていく皺を、どのように受け入れてきたのだろうか

子供等を育てるために
どれほどの嘘をついてきたのだろうか
嘘をつくたびに歪む顔に
老婆は気づいていたのだろうか

子供等を育てるために
どれほど重い荷物を背負い続けてきたのだろうか
そのために曲がり、縮みゆく体に
老婆は気づいていたのだろうか

家族のために
味噌汁の具を手に入れようと
大根を、ジャガイモを素手で掘り起こし
いつの間にか
爪が丸まっていくのに
老婆は気づいていたのだろうか

そうやって過ごした日々は
この老婆の胸の内に
仕舞われて
日の目を見ることもないのだろう

果たして、そうして育てた息子から、娘から
月に1回も、電話が来るのだろうか
年に1回も、お菓子の一つも送ってくるのだろうか

醜い老婆は
手押し車を押し
ひなびた商店街の歩道をゆっくり歩く

周りの人々に
生きた証を指し示すように
ワシも、若い頃は、例えばバスで、
年寄りのそばの席がすいていても座ることはなかったよ。

まあ、ガキでしたネ。

最近、このような年寄りを見ると「おー、先輩、なかなか良い皺を刻んでいますね。」って
いとおしくなりますね。

そして、自分自身の髪が薄くなったり、顔に皺が増えたのを鏡で見ると、
「俺も、一人前にやってきたんだな~。」な~んて、納得する今日この頃でッ。