江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

政治家の皆さん、ブレトン・ウッズ体制を覚えていますか?

 今、世界中を席巻している金融危機と経済の収縮。
 いわゆるサブプライムローン問題に端を発した世界的危機は、どのように現象化したのか。2007年からの日経ネットの記事を読んでいただきたい。

【日経ネットより】
<2007年>
(3/3)米住宅ローンに異変・高金利型、焦げ付き増加 
 【ニューヨーク=財満大介】米国の住宅ローン市場に変調が起きている。信用力の低い人を対象とした高金利型のサブプライムローンの延滞や物件の差し押さえが増加し、昨年末以降、同ローンを専門とする金融機関の破綻が相次いでいる。不安は大手銀行などにも広がり、金融株は今年に入って下げ幅を拡大。最近の株価急落の一因にもなっている。
 問題が表面化したのは昨年12月。オウンイット・モーゲージ・ソリューション、モーゲージ・レンダーズ・ネットワークなど、サブプライムローンを専門的に手掛ける比較的小規模の金融機関が資金繰りに行き詰まり、業務を停止した。2月に相次いで米連邦破産法11条に基づく資産保全を申請。ほかにも約20社が業務を停止しており、今年中に100社が破綻するとの観測も出ている。 

(9/13)グリーンスパン氏「サブプライム問題、重大さに気づかず」 
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長は米CBSテレビのインタビューで、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に触れ、2006年1月末の退任直前まで事態の重大さに気づいていなかったと述べた。CBSが13日、16日に放映するインタビューの抜粋を公開した。
 前議長は安易なサブプライム融資が横行していたことを認識していたが「05年の終わりから06年に入るまで重大さに気づかなかった」と指摘。この問題を甘く見て、事態を放置してきた責任を率直に認めた。
 ただ「金融監督当局が対処するのは極めて難しかった」と弁明した。前議長が主導した01―03年の金融緩和がサブプライム問題の一因になったとの批判についても「誤解だ」と反論した。 

(11/22)サブプライム損失、最大33兆円・OECD報告 
 【パリ=野見山祐史】経済協力開発機構OECD)は21日にまとめた金融市場動向に関する定期リポートの中で、米国での信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に触れ、金融機関や機関投資家が抱える損失額が最大3000億ドル(約33兆円)に膨らむとの見通しを公表した。米国の住宅ローンの市況はこの先一段と悪化する公算が大きく、投資家が保有する債務担保証券(CDO)など関連資産の価格低下を理由に挙げた。
 返済遅延が起きやすい住宅ローンの残高が今後も増えていくことを挙げ「我々はまだ状況悪化の途上にある」とも強調した。
  

<2008年> 
(3/18)サブプライム損失78兆円に拡大も・IMF試算 
 【ワシントン=共同】国際通貨基金IMF)のシン西半球局長は17日、ブラジルのサンパウロで講演し、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による金融危機の深刻化で、金融機関やファンドなどの関連損失が約8000億ドル(約78兆円)に拡大する恐れがあるとの試算結果を示した。
 IMFは昨年9月、サブプライム関連損失が最大2000億ドルに膨らむと予想していたが、事態が急速に悪化していることが鮮明になった。米国が景気後退局面を迎えた場合、影響が世界に波及する公算が大きく、米大手金融機関の経営危機など信用不安の高まりも響いているという。
 局長は「現時点のサブプライム関連損失は世界全体で2300億ドル」とし、約半分が米金融機関で、残りの大部分が欧州と説明。商業用不動産ローンやクレジットカード債権など他の銀行資産で1000億ドル以上の損失が生じる恐れも指摘した。 
 
(8/12)欧州主要銀の1-6月期、11行中10行が業績悪化 
 【チューリヒ=石井一乗】欧州主要金融機関の1―6月期決算が12日ほぼ出そろった。主要11社のうち10社の最終損益が前年同期より悪化。3社は最終赤字に転落した。金融市場の混乱に絡む損失計上額は11社で計約620億ドル(約6兆8000億円)に上り、金融混乱が世界の金融機関の経営を揺さぶる現状が改めて浮かび上がった。
 スイスのUBSが12日発表した4―6月期決算は、最終損益が3億5800万スイスフラン(約360億円)の赤字(前年同期は55億スイスフランの黒字)と、4四半期連続で最終赤字となった。金融市場の混乱に絡み計51億ドルを損失として計上したほか、オークション・レート・セキュリティーズ(ARS)と呼ばれる仕組み債に関連した訴訟に絡み9億ドルを費用計上した。ただ税額控除が38億スイスフラン発生し、1―3月期に比べ赤字額は縮小した。 

(10/15)米JPモルガン84%減益 サブプライム問題が直撃 7―9月 
 【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀のJPモルガン・チェースが15日発表した7―9月期決算は、純利益が前年同期比84%減の5億2700万ドルだった。同日発表の米大手銀ウェルズ・ファーゴも同25%減の16億3700万ドル。不動産を裏付けにした証券化商品の評価損がかさんだうえ、住宅ローンなどの個人向け向け金融の焦げ付きが増加した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した信用収縮の長期化が米銀大手の収益力を直撃している。
 JPモルガンは証券化商品で26億ドル、M&A(合併・買収)向けの融資で10億ドルの評価損を計上。証券化商品は担保となる不動産価格が下がった。M&A融資では株価下落などで買収先の企業価値が減少したのが響いた。
 以上の記事の中から、素人から見ても「金融の混乱を誰も正確に把握することが出来ない。」と言える。

 では、なぜこのような事態になったのだろうか。大きく、二つ問題があるのではないかと考える。
 まず、デリバティブ商品の横行。特に、リスクの商品化が経済の無政府状態に拍車をかけたと言えるのではないだろうか。
 生産性・土地等の担保に裏付けられた信用の貸付・売買ならまだしも、破綻可能性のローンを含んだ商品を流通させた。しかも、生産に裏付けられた経済から、一時的な金利・信用の乱高下で利益を上げる金融主流の経済の只中、世界的な超流動性の中でそれが行われた。完全な金融バブルの最中に行われたのである。

 もう一つの問題は、各国が自らの通貨の価値に責任を持たないという体制の中で発生したという点である。むしろ、変動相場制であったからこそ、このような事態を招いたといえるのかもしれない。為替の差益すら、利益追求の有効な手段なのだから。世界的に経済自由化が進んだ社会で、自国の通貨の価値を自国のみで支えることは、不可能に近い。しかし、全ての国が責任を放棄した現在、どのような経済システムも破綻するのは眼に見えていたのではないか。
 アメリカ・日本を通じて、現在、注目されているのが車産業の凋落である。20世紀の経済を牽引してきた経済の主流が、大きく落ち込んでいる。この傾向が簡単に回復するとは考えられない。

 環境保護・資源保護の観点から言えば、好ましい状況ではないか。
 だが、一方で大量の失業者が発生している。その対策も各国でとられている。企業への融資、失業者への援助。

 日本国内の問題に絞って言えば、企業への優遇や経済活性化策は取る必要は無いと考える。淘汰されるべき時期にあると考えるべきだろう。
 失業者への支援を十分にするだけでよい。
 なぜなら、各国で経済活性化策をとったとして、信用商品は何処を流通しているのか、わからないのである。つまり、日本で多額の税金をつぎ込んで企業を支援しても、生産されたものが売れるという保証が無い限り、資金は日本に戻ってこない。
 日産のゴーン氏は、「政府が車産業を支援するのは当然」と発言したとか。それは、違う。

 他の国でも同じである。地球が大きな水入りの風船の中に入っている状況を想像していただきたい。風船の中の水は、波を打つようにあちこちに移動する。ある地点では厚く、ある地点では薄く。薄い地点(国)で、活性化策をとっても、水はどこに移動するかわからない。投資家達の心理のままに移動するのである。この波が、収まるには相当な時間が必要だろう。その間に、どれだけの犠牲者が出るのだろうか。
 このような状況で、企業の復活に望みをかけても無駄である。淘汰されるべき産業に、税金を投入させてはいけない。失業者を全力で支えることが一番有効である。

 後は、国際的なレベルで金融秩序を再構築するしか、解決の方法は無いだろう。
 皆さんは、忘れてしまっているかもしれないが、かつてブレトン・ウッズ体制という世界秩序がありました。旧ブレトン・ウッズ体制をそのまま復活するということは出来ないだろうが、国間協定ではなく世界的な、あるいは域内協定という形での新ブレトン・ウッズ体制の復活こそが、唯一、有効な手段と考える。

 と、素人は考えるが、玄人はどのような解決方法を見出すのだろうか。
 <ウィキペディアより>
 ブレトン・ウッズ協定(ブレトンウッズきょうてい)(Bretton Woods Agreements)とは、 第二次大戦末期の1944年7月、アメリカ、ニューハンプシャー州北部の行楽地のブレトン・ウッズで開かれた連合国通貨金融会議(45ヵ国参加)で締結され1945年に発効した国際金融機構についての協定である。
 国際通貨基金(IMF)、国際復興開発銀行(IBRD)の設立を決定したこれらの組織を中心とする体制をブレトン・ウッズ体制という。 この協定は1929年の世界大恐慌により、1930年代に各国がブロック経済圏をつくって世界大戦をまねいた反省によっているだけでなく、第二次世界大戦で疲弊・混乱した世界経済を安定化させる目的があった。そのため具体的には、国際的協力による通貨価値の安定、貿易振興、開発途上国の開発を行い、自由で多角的な世界貿易体制をつくるため為替相場の安定が計られた。
 そのため、金1オンスを35USドルとさだめ、そのドルに対し各国通貨の交換比率をさだめた。(金本位制) この固定相場制のもとで、日本円は1ドル=360円に固定された。
 この体制下で西側諸国は、史上類を見ない高度成長を実現。特に、日本は1950年代から1970年代初めにかけて高度経済成長を実現し「東洋の奇跡」とよばれた。 安定した自由貿易の利益が先進工業国全体の経済を改善した。
 その後、アメリカ経済の拡張的な姿勢によりドルのインフレが進行。一段の景気拡張と完全雇用を志向したニクソン政権により通貨価値の保持が放棄された。
1971年にニクソン・ショックによりアメリカはドルと金の交換を停止した。
1973年には、変動相場制に移行し、ブレトン・ウッズ体制は崩壊した。以後、1970年代はドルの凋落とオイルショックによる政策の迷走に見舞われた。