安倍晋三首相は29日午前の参院平和安全法制特別委員会で、野党が安全保障関連法案を「戦争法案」と批判していることに対し、「あたかも違法な行為をわが国が率先していると誤解されかねない極めて不適切な表現だ」と強い不快感を示した。
公明党の西田実仁氏への答弁。
首相は、国連憲章が認めている集団的自衛権の行使は、国際法で違法とされている戦争とは明確に区別されていると説明した上で、「わが国が新3要件が満たされた場合に行う武力行使は、あくまで自衛のための措置で、国際法上も正当な行為だ」と強調。「戦争」ではなく、「自衛のための措置」「防衛のための実力行使」との表現が適切だと指摘した。
日本が直接攻撃を受けていない段階で行使される集団的自衛権について、先制攻撃とみなされる可能性がないか西田氏がただしたのに対し、岸田文雄外相は「国際法上、合法と言えない先制攻撃と、集団的自衛権は全く異なる」と強調。「集団的自衛権を行使すると国連安全保障理事会に報告し、説明する義務が生じる。(先制攻撃と)混同されることはない」と述べた。
確かに、これまでも自衛隊は海外に出て行き活動をしています。しかし、それは一部の国で決めたことではなく、国連で決定した計画に基づく行動(警察活動、人道支援活動)です。
国連憲章第51条〔自衛権〕
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
「だって戦争したくないじゃん」―。毎週金曜、東京の国会議事堂前で安全保障関連法案に抗議を続け、注目を集めている若者のグループ「SEALDs(シールズ)」。中心メンバーの1人は稚内生まれ、オホーツク管内遠軽町育ちの法政大4年佐藤大(だい)さん(24)=都内在住=だ。同法案は28日から参院平和安全法制特別委員会で実質審議に入ったが「絶対に止める」との思いはいっそう強まった。「勉強したい、思い切り遊びたい。でも、抗議に行かない理由がない」
以前は「デモはダサイ」と冷笑していた佐藤さんだが昨春、大学の恩師が短文投稿サイト「ツイッター」で特定秘密保護法に反対する学生デモを紹介しており、気になった。その後、集団的自衛権の行使容認が迫っていることを知り「反対しないと後悔する、いま行動するしかない」と思い立った。行使容認が閣議決定される前日の昨年6月30日、官邸前のデモで叫んだ。
秋には「特定秘密保護法に反対する学生有志の会」に参加。今年5月に後継団体として「シールズ」が発足し、佐藤さんは最初から中心メンバーになった。シールズは「自由と民主主義のための学生緊急行動」の英語の略称だ。
若者は無関心と言われるが、安保関連法案について同世代と語ると「実は不安だった」と漏らし、デモに来る学生も少なくないという。「法案が成立すれば『戦争になっちゃう』という感覚は皆に強くある」。シールズに呼応するように、若者主体のデモが札幌など全国に急速に広がる。(東京報道 山本倫子)