江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

江戸しぐさ(用心しぐさ、六感しぐさ)

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 昨日に続いて、江戸商人の哲学である「江戸しぐさ」から引用させていただきます。

 なお、他人の文章を引用してコメントを頂くのも気が引けますので、コメント無しとさせていただきます。

 ごめんなさい。

 ゆっくり読んでいただいて、参考にしていただければ幸いです。


【引用文献】
越川禮子著
商人道「江戸しぐさ」の知恵袋
講談社α新書

= 用心しぐさ =
 江戸は西南に鈴ヶ森、東北に飛鳥の森の二大森林地帯をいただく、緑が豊かで、人情に通じた暮らしやすい町であった。

 とはいえ、100万都市。地方からのゆきずり者も多く、一方では大伏魔殿ともいわれた。商人たちは江戸を「まさかの町」と呼んでいた。いつ、どんなところで、何がおきても不思議はない。

 つまり、まさかのことが起きる町というので、悪者のえじきにされないように「用心しぐさ」も周到に教えていた。

 スリにあわないためには町の中で目的もなくウロウロしない、あちこちキョロキョロ、ウロウロ歩けば、すぐに「おのぼりさん」と悟られるので気をつけなさいということ。

 傘かしげ、肩ひきなど、江戸では稚児もしていた、この「江戸しぐさ」をしない人は「ぽっと出」と思われ、スリが狙った。


= 六感しぐさ =
 「うっかりしていた、うかつだった、不注意だった」で、いろいろな災難は起きる。こわいとか、どこか変、いつもとようすが違うといった、危機感を敏感に感じ取れる人間になるよう、おとなは自身も六感しぐさを実践し、子どもにも見取らせた。

 六感は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を全開で駆使し、総合的に物事の情況を瞬間に把握する直感のこと。

 商人には人を見抜き、雰囲気を察する鋭い六感は絶対に必要だった。六感がはたらくことが、江戸で生きていくための、生命を維持する、あるいは商売繁盛を約束する大もとだった。

 かつては人を評価するとき「ろくのきくやつだ」といったりしたが、死語になった。この「ろく」は六感のこと。