江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

ブータンに学ぶ「幸せ」「指導者の意識」

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世界的金融・信用の収縮を要因とする世界的不況が、これまでの若者達の人生観に大きな変化をもたらしているように感じます。

かつて、派遣労働が認められるように労働法制が改正されようとしていたとき、若者達は「自由な労働」に憧れ、そのような生き方を選んでいった。

あれから、十年も経ったのだろうか。
その仕組みのたくらみが、若者達に自由を保障するものでも、幸せをもたらすものではないことが、明らかになった。

大企業は、内部留保を何十兆円も抱え込みながら、労働者の首を切っている。
政治家も、そのことに違和感を感じないかのような、緊張感の無い状況が続いている。


国を指導する皆さん、重要な社会的存在である企業の指導者の皆さん、どうか国民の幸せに付いて考えてください。

なにより、若者達自身が自分の幸せを考えていただきたい。(余計なお世話か・・・)

ブータン王国に学ぶリーダーシップの形」西水美恵子
(平成18年10月10日学士会館における講演の要旨)

<前略>

国民総幸福量と精神的な和

そのブータンの草の根を歩いて、そういう会話を聞きながら感じることですが、国王をはじめブータンの指導者は、ビジョンと価値観を非常に明確に持っています。ただ持つだけではなく、そのビジョンと価値観を、動的に国民にいつも伝えるように努力をしています。また、そのビジョンと価値観は、自分たちが指導者として頭で考えたことを上から下に示唆するのではなくて、国中を歩きまわって、国民との会話から民が持つ英知を聞き取る。それにリーダーシップの付加価値を足して、次元を高めながら、また国民と会話を続ける。その動的な仕事が常時なされているのです。

これは会社のリーダーでも、国のリーダーでも、非常に大事なことだと私は思います。そうしてできたそのビジョン、価値観で最近広く知られてきたことは、国民総幸福量という、ブータンの公共哲学的な考え方に代表されると思うのです。少し、その国民総幸福量とは何か、ブータン国王をはじめとした指導者が三十何年間も国中を歩き続けて、民の意を汲んで編み出した公共哲学とは何か、というお話をさせて頂きたいと思います。

哲学としては、非常に簡単なのです。つまり、人間が最も望むことは幸せである。それ以外にはない。その幸せの定義は個人個人で違う。けれども、その幸せを追求していくことが、人間が望むことだというものです。それから、幸せは物質のみでは得ることができない。国民の幸せを考える時に必要なものは、最低限の物の豊かさは必要であるけれども、それプラス、国民個人の精神的な和が大切である。民を取り巻く家族の和、地域社会の和、それから、人間と大自然との和、そして、国民1人1人が自覚して、アイデンティティとして共有できる歴史、文明、文化が大事であるというものです。世界中の国のほとんどは、国家の目的、政策の目的を経済成長で豊かになることに置いていますが、ブータンは、それは目的ではないとはっきり断言しています。経済成長は目的ならず、経済成長は国民が幸せを追求するための手段のひとつである。手段と目的を取り違えてはいけない。大きな間違いの元になる。成長の速度ではなくて、いろいろな形の人の和を大切にする経済成長の質を、いつも考えなくてはいけない。

そういう基本的で、聞けば非常に常識的な哲学から始まって、だんだん具体化していきます。まず、政治とは何か。政治は国民の幸福追求を可能にすることにつきる。社会政策でも、教育政策、経済政策でも、国がとる政策の目的は、1人1人の国民が、幸福を追求する時に現れうる、公の性質を持つ障害を取り除くことである。それこそが政策の役割である。行政、司法などの責任を持つ人々のいちばん重要な姿勢は、民の視点から司ること。上下関係の上から国を司ってはいけないということです。

哲学としての締めくくりは、不安定な国は、歴史的に見ていつも何らかの形で国民が不幸で、不満な国だということ。国民が幸せか、今幸せでなくても、幸せを追求できるという満足に浸っている国は、安定した国である。だから、ブータンの国家安全保障の源は、国民の幸せにつきる。だから、これは真剣勝負で、単なる哲学ではないということになります。長い目で見れば、国が滅びうることなのだから、まじめにやらなければいけないという覚悟が出てくるわけです。

<後略>
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