人たちが、外海・黒崎港から逃げてきたときに上陸
したところです。)
人は、どんなときに泣くのだろう?
なんて、考えたことありませんか?
大事な人・モノを失ったとき。それには、別れも入るのだろう。
ほしいものを、与えられないとき。子どもの場合、かなりこれが多いような気がする。
痛い目に遭ったとき。耐えられない痛さに、つい平常心を失うのだろう。
それに、あまりの情けなさに泣くというのも聞いたことがある。
あ、それに懐かしくて泣くというのもある。
それにしても、年を取るとめったに、涙など流れるものではない。
つまり、泣かない。
第一、ジジイが泣いていてはみっともない。と、言うか見苦しい。
若い女性の涙なら、幾人かの男性どもは、足を止めてでも見るだろう。
しかし、薄暗い時に写真を撮るにも、頭の光があればフラッシュもいらないような
風貌のジジイが、うかうか、泣いていようものなら、警察に連絡されかねない。
そのジジイが、泣きたい、と昨日は思ったのです。
先週から、歯茎の状態が良くなくて、月曜の夕方、歯の治療の予約していたのです。
仕事も定時きっちりに、引き上げて(いつもと大して変わらないが・・・)
歯科医院へ直行。
医院に入って、時計を見ると予約の時間ピッタリ。
とにかく、早く症状を先生に伝えて治療していただかないと。
あせる気持ちを抑えて、おもむろに診療台に横たわり、
「どうしたのですか?」という問いかけに「歯の噛み合わせが悪くて、歯茎が」
「どちらですか?」、「右下の奥のやつですよ。」
先生は、しきりに触ったり、器具で突っついたり、やがて「麻酔かけて治療しますね。」
ふ~~ん、麻酔か。
と、たかをくくっていたが、じわじわと効いてきた。
歯茎が、がんがんになっていく。
にわかに治療に取り掛かる先生。
昔かぶせていた冠の高さを調整するようだ。ジージー、ガーガー。
痺れている私の口の中は、もう、大変。
看護助手の人がバキュームしてくれるのだが、なかなか、うまくいかない。
つばが、のどの奥を攻める。
うんグッ、うんグッ、うんグッ。
手は、しっかり握り締め。しかし、我慢ができずに、舌で治療の妨害をする。
すると、また、バキュームをしてくれる。
また、ジージー、ガーガー。
うんグッ、うんグッ、うんグッ。
息苦しいのが、わからんのか!!!
それでも、我慢するしかない。
手をしっかり握り締め、我慢するしかない。
情けなくて、情けなくて、泣きたいくらいだよ!
やがて、治療を終えて時計を見てみると、
わずか10分程度の格闘である。
たった、10分。
これはこれで、情けない。
たった、10分を我慢できないのか。
「はい、今日の治療はこれで終わりです。次に、型を取りますからね。それから
今から1時間は何も食べてはいけませんよ。」
「ありがとうございます。」(どんな顔で言ったのだろうか。)
家に帰り、1時間経過するのを待って、やっと、夕食。
なんだか変な感じ。
美味しいのか、美味しくないのか、わからない。
どうしたものか、食べたものが、ポロリ。
なんだこりゃ~。
口の周りは、まだ、麻酔が効いていて、神経が麻痺していたのである。
食べたものをこぼす私を見て、妻は、薄笑いを浮かべ、迷惑そうに見ているのであった。
これも、また、ジジイとしては、
情けなくて、情けなくて・・・。