台風4号は、五島にはさほど影響を与えずに去ってくれた。
良かった。良かった。
都会のビルの中にいる人には、台風についての思い出って
あんまり、ないんじゃないかな?
五島には、昔から年に1・2個は来襲して
農業とか水産業とか、生活基盤を脅かしては去っていく、
やっかいな代物です。
ところが、
ずー、っと昔のことを思い出してみると
なんか、賑やかな思い出?
まるで、お祭り騒ぎのような、
一家総出で、家の回りの片づけをしたり
屋根の上に上り、何やら、小難しいことをしている
父の姿に、わー、頼もしいなー、なんて憧れたり。
色んな準備が済むと、停電になる前に、夕ご飯やら、フロを済ませる。
そして、さあ、いつでも来い、とばかりに布団に入る。
やがて、停電し、真っ暗闇になる。
布団の中で、じっと、耳を澄ますと、
遠くから、地鳴りのような風の音が聞こえる。
ざざー、ざざー、ざざー。
ごごー、ごごー、ごごー。
しばらくすると、いよいよ佳境に入る。
雨戸が、ガタ、ガタ、ガタ、ガタ。
瓦が、ガタ、ガラ、ガラ、ガタ。
たまには、家がきしむ音がする。ギ、ギッ。
不思議なことに、台風の山場は、たいてい夜来ることが多かったのだ。
そんな、気配を我が○○家は、みんなして布団の中で
じっと、聞きながら、布団の端をぎゅっと握り、
目だけは、パッチリと、真っ暗で見えない天井を
そろって、見つめているのである。
一時して、私が「ねえ、お母さん、大丈夫やろか?」と聞くと。
「なんね、トイレに行きたかっね。ほら、付いて行くけん。」
暗くて、トイレに行けない私の心理は、母にとってお見通しだったのである。
そうしたやり取りが二・三回続き、しぶとく、いつの間にか寝てしまっている「台風一家」でありました。
思えば、台風もお祭りも、小学生の私には、同じように思えていたのでした。
どうでもいいけど、「エンタの神様」が始まるよ!。