片肺飛行になっちゃったアベノミクス【日銀・黒田敗北宣言】
日銀は1日の金融政策決定会合で、物価上昇率2%の目標達成時期を、従来の「2017年度中」から「18年度ごろ」に先送りすることを決めた。見通し通りなら、黒田東彦総裁が任期切れを迎える18年4月までに目標を達成できないことになる。黒田総裁は記者会見で、想定外の原油安などが物価低迷の原因とした上で、「(物価目標と)私の任期に特別な関係はない」と述べた。
黒田総裁は就任直後の13年4月、2%の物価目標について「2年程度を念頭にできるだけ早期に実現する」と宣言したが、これで5回も達成時期を先延ばしすることになる。黒田総裁は記者会見で「物価見通しが後ずれしているのは欧米の中央銀行も同じ。石油の動向は予測が難しいし、新興国の減速も予測しがたい。何をもって責任とするかは難しい問題だ」と述べた。
日銀は同日の会合で、16年度の物価見通しを従来の0.1%からマイナス0.1%に引き下げるとともに、17年度を1・7%から1.5%、18年度を1.9%から1.7%にそれぞれ引き下げた。1年で1.6ポイントも物価が上昇するとの強気の見通しだが、黒田総裁は「13年4月の量的・質的緩和開始から1年後にプラス1.5%程度まで上がっており不自然ではない。石油価格は上昇気味であり、物価自体も上がっていく」と説明した。ただ、目標実現が遠のくばかりだと、日銀への信頼が揺らいで国民の間に「物価は上がりにくい」との見方が定着、消費が冷え込む悪循環につながる懸念もある。
同日の決定会合では金融政策を維持し、短期金利と長期金利の誘導目標を継続することも賛成多数で決めた。【坂井隆之】
最終更新:11/2(水) 0:10
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