国民への思いやりより、アメリカへの思いやり
日米両政府は16日、2016~20年度まで5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について基本合意した。
アジア太平洋地域に戦略の重心を移す「リバランス(再均衡)政策」を進める米側に配慮。11~15年度分より約130億円増の総額9465億円となる見込みだ。
両政府は今後、思いやり予算の支出根拠となる新たな特別協定について細部の調整を行い、来年1月にも署名。日本政府は次期通常国会に新協定を提出し、3月末までの国会承認を目指す。
日本政府は当初、深刻な財政赤字を理由に予算の減額を要請。これに対し、米国はリバランス政策に伴い日本への新型輸送機オスプレイ配備などを進めており、逆に増額を主張。北朝鮮の核開発や中国の東・南シナ海での海洋進出に対応する観点から、最終的に米国に一定の譲歩が必要と判断した。
子育て世帯の負担軽減策として支給している「子育て世帯臨時特例給付金」(子育て給付金、2015年度は子ども1人当たり3千円)について、政府・与党は、16年度から廃止する方針を固めた。公明党が継続を求めていたが、軽減税率をめぐって公明党に譲歩したことなどを理由に自民党が取り合わなかった。
子育て給付金は、14年4月の消費増税にともなって導入された。高所得の世帯を除く中学生までの子ども約1600万人を対象に、14年度は1人あたり1万円、15年度は3千円を支給した。
自民党は財政難を理由に14年度で打ち切る意向だったが、公明党が継続を主張し、15年度分は金額を減らして支給した。16年度分も自民党が廃止を求めたのに対し、公明党が給付の継続を訴え、協議は平行線になったが、最終的に両党が廃止で合意した。(岡村夏樹、南彰)