配特ゼロ
数年前、とても悔しい思いをしました。
税制は、国民と国の関係、あるいは国が国民をどのように見るか、良く反映していますね。
この詩は、このときの税制改正を知らない人には、ちょっと難解ですね。
すみません。
配特ゼロ 今日、とっても厭な書類を書いた 【給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書】 いつから、このような様式になったのか 【配偶者の合計所得金額(見積額)を次の表により計算してください】 専業主婦として 子を育て、子を嫁がせ 孫の世話をする妻 呑んだくれ親父の世話におわれ ゆっくり鏡の前に座る暇もなく 顔には、今さらパックを続けても延ばしようもない皺を刻み 涙もかつてのスモモのような肌を自由に流れることも出来ず 皺を伝うだけ そんな妻に収入を得る方策もなく 【配偶者の合計所得金額(①~⑦の合計額)0円】 わざわざ計算するまでもなく 私の妻に労働所得はなく さらには不労所得をもたらす資産もなく ザクザクと財貨を与える親もない 【配偶者特別控除額の早見表】 数段にわかれた配偶者の所得ランク ランクに応じた控除額 実に丁寧な早見表 しかし、私の妻の場合 意味がない 【配偶者特別控除額 0万円】 なんと厭な計算をさせるのか 所得のない私の妻を考慮の対象としない この国の成り立ち 「配特ゼロ」と呼ばれる存在 私は そのことを妻に伝えることも出来ず いつもより、少し多く焼酎をあおり 妻はというと そんな私の思いを知る由も無く 冷え込んできた夜気の中 うぅ、うぅ、と絞り上げるような声を出し かけ布団を抱きしめるように眠っている 余程、辛い夢を見ているのか 余程、辛い思いが体中に沁みているのか