このシリーズは、越川禮子著「商人道『江戸しぐさ』の知恵袋」を もとに、江戸時代の良さと偉大さを知っていただくために書いています。 今回は、十五理(ことわり)。 前回は、十二歳までには一家の主の代理で手紙を書けるようでなければ 一人前ではない、ということを書きました。 今回の十五理は、十五歳までには、経済に関する知識、自然の移ろい などを、暗記だけでなく、体得している必要がある、ということ。 つまり、試験をクリアするための知識ではなく、実際に、自らの知恵として 利用できないといけなかった、ということです。 知識を使いこなすことが出来る、ということの背景には、その人の人格が 完成していないといけないということもあったようです。 江戸時代は、人格の完成が先で、次に知識を入れて、人のために知識を 使いこなせるようになって初めて、十五歳。 子育ての最後のプロセスだったそうです。 武士の子なら、元服をする年代だ。 知識を振り回し、人のために何かをするという意識を持たない幼稚な大人が 多い現在の日本。 物は多くなっているが、社会全体が幼稚化していることに危機感を持つべき ではないだろうか。