尖閣諸島で頻発する中国公船による侵入と威嚇。鈍い政府の反応と国民の危機意識の欠落。
ワシが住む五島列島は、中国が主張する「第一列島線」の中にある。
そのことに日本の政府や自治体が抗議するのを聞いたためしがない。
尖閣諸島周辺でのトラブルについては、形だけは政府が抗議しているみたいだ。
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中国公船2隻、尖閣領海で日本漁船に接近…巡視船が間に入り安全確保
読売新聞、2/21(日) 9:02配信
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、21日午前4時48~54分頃、沖縄県石垣市の尖閣諸島・久場島沖の領海に中国海警局所属の公船2隻が相次いで侵入した。
2隻が付近を航行していた日本漁船(乗員3人)に接近する動きを見せたため、海上保安庁の巡視船が間に入って漁船の安全を確保し、2隻に領海からの退去を求めている。前日には別の公船2隻が一時、領海に侵入した。
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しかし、抗議は本当に形だけ。
自民党・公明党の連立政権にとって、いや、他の政党も含めて、領土問題は経済活動のことを考えて触れたくない問題なのだ。
この能天気な対応の根底には、中国共産党の「政経一致」路線の怖さを知らないことによる経済的に友好関係が続けば「お友達」という認識があるからだろうね。
中国共産党の長期的戦略は、言わずと知れた世界共産主義革命の達成。
こうした認識のもとに、中国における経済や民間の全ての活動が制約と許可のもとに行われていることを意識しないといけない。
日本経済にとって中国はアメリカに次ぐ相手国。
日本の国会議員の中には、白須賀議員(一応、自民党を離党しました)のように中国企業のために働く人間もいる。
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2019年の日本の貿易相手上位5カ国・地域およびASEAN・EU(財務省統計)
(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
輸出 |
|
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国・ 地域名 |
金額 |
伸び率 |
構成比 |
寄与度 |
|
||||
総額 |
705,528 |
△ 4.4 |
100.0 |
— |
|
||||
米国 |
139,798 |
△ 0.2 |
19.8 |
△ 0.0 |
|
||||
中国 |
134,690 |
△ 6.4 |
19.1 |
△ 1.3 |
|
||||
韓国 |
46,250 |
△ 11.9 |
6.6 |
△ 0.8 |
|
||||
台湾 |
43,002 |
1.5 |
6.1 |
0.1 |
|
||||
香港 |
33,626 |
△ 3.1 |
4.8 |
△ 0.1 |
|
||||
106,207 |
△ 7.2 |
15.1 |
△ 1.1 |
|
|||||
82,116 |
△ 1.6 |
11.6 |
△ 0.2 |
|
|||||
輸入 |
|||||||||
国・ 地域名 |
金額 |
伸び率 |
構成比 |
寄与度 |
|||||
総額 |
720,738 |
△ 3.7 |
100.0 |
— |
|||||
中国 |
169,218 |
△ 2.5 |
23.5 |
△ 0.6 |
|||||
米国 |
79,083 |
△ 3.1 |
11.0 |
△ 0.3 |
|||||
オーストラリア |
45,447 |
△ 0.6 |
6.3 |
△ 0.0 |
|||||
韓国 |
29,613 |
△ 7.9 |
4.1 |
△ 0.3 |
|||||
27,625 |
△ 18.2 |
3.8 |
△ 0.8 |
||||||
107,764 |
△ 4.0 |
15.0 |
△ 0.6 |
||||||
89,097 |
1.3 |
12.4 |
0.1 |
||||||
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近年の中国の拡大主義への傾倒は、最大の警戒が必要なレベルにあると思う。
しかし、日本のあらゆる階層の人々は暢気すぎる。
香港における「一国二制度」を踏みにじる行為、台湾に対する威嚇行為、近隣の少数民族への侵略行為を対岸の火事と見てはいけない。
同時進行している戦略だということを認識しないといけない。
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中国がインドやブータンとの係争国境近くで「村」建設か 衛星写真が捉える
CNN,2020.11.25 Wed posted at 16:30 JST
香港(CNN) 中国がヒマラヤ山脈にあるインドやブータンとの国境付近の地域で建設活動をしていると見られる様子を衛星写真が捉えていたことがわかった。この地域は2017年にインドと中国の間で1カ月間にわたるにらみ合いが続いたドクラム地域の近くにある。
米国の衛星運用会社、マクサーテクノロジーズは声明で「2020年10月28日付けの写真から、トルサ川の渓谷地域で大規模な建設活動があったのは明らかだ」と述べ、ドクラム地域付近で「新たな軍の備蓄庫の建設もあった」とも付け加えた。
マクサーによると、新たに建設された「パングダ村」は両国が争う国境線のブータン側にあり、備蓄庫は中国側にあるという。
駐インド・ブータン大使は「ブータン内部に中国の村は存在しない」との声明を発表した。
中国外務省はこの衛星写真に対するCNNからのコメント要請に回答していない。インド外務省もコメントを出していない。<以下略>
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中国の周辺地域での既成事実拡大はこれだけに限らない。
東シナ海の日本領域近辺でもたびたび調査と称した領域拡大活動が行われている。
しかし、日本における深刻な課題は、もっと、他の所にある。
それは、マスコミを含めて無意識のうちに中国の戦略的用語を使っていることだ。
これは、重大な事態と言わなければならない。
そして、この危機的状況を認識すると同時に、経済のセーブをしない限り、やがて日本は中国の本当の属国になってしまうという危機感が必要だということを訴えたい。
経済活動に日本の経済界や国民は「豊かさ」を求めているが、中国は「制覇」を求めているということに気づかないといけない!
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日本メディアが使う「中国の少数民族」は政治的な差別表現
ニューズウイーク日本語版、2020年10月19日(月)07時00分
<中国政府の言う「~族」は政治的帰属を強調する独自の民族政策に由来している>
ウイグルやモンゴル、それにチベットなど、中国の民族問題がクローズアップされている現在、日本のメディアが頻繁に使う表現がある。「中国の~族」「中国の少数民族」などだ。これらは政治的な差別用語になり得るので慎重に用いて欲しい。「民族」は古い概念だが、使い方次第で新たな問題を起こす危険性を帯びている。
今夏に突如として現れた、内モンゴル自治区の民族問題から考えてみよう。
中国政府がモンゴル人に対して中国語教育を強制したことで、大規模な抗議デモが発生。モンゴル人の母語はモンゴル語であるにもかかわらず、他民族の言葉を強要する手法は文化的ジェノサイドに当たるとして反発は強まった。
民族とは、共通の言語と経済、共通の歴史と心理を持つ人間の集団と、社会主義の祖の1人であるスターリンは定義した。これは共産主義を信奉する政治家だけでなく学界でも定着している。「中国的特色ある社会主義」を標榜する中国の理論家らも当然知っているはずだ。それでもあえて定義をすり替えて「少数民族」の1つであるモンゴル人にこの言葉を使おうとしたのには、独自の民族政策があるからだ。
中国には、自国のモンゴル人が「モンゴル人」と自称するのを禁じ、代わりに「モンゴル族」と名乗ることとする不文律の規定があった。筆者は北京の外交官育成の大学で学んでいた頃に、この政策を初めて知った。日本人と会った際に、うっかり「モンゴル人だ」と自己紹介したことで、厳しく「指導」されたのを覚えている。ウイグル人もチベット人もまた同様である。
モンゴル人はモンゴル国だけでなく、ロシアやアフガニスタンなど世界各国に分布する。どう解釈しても「族」は集団を指し、「人」( じん)は個人を意味する。一個人が民族全体を代表することはできないとの考えから、筆者は次第にこの規定に違和感を持つようになり、外交官にもなれなかった。
中国が定義する「~族」とは、中国への政治的帰属を強調した概念だ。モンゴル人にとっては独立したモンゴル国が隣にあるため、祖国への憧れを断ち切ろうと中国は個人に対しても「民族」の使用を強要する。以上は、1980年代半ばまでの話だ。
80年代後半になると、中国政府はスターリンが言うところの民族は具合が悪いと気付き始めた。従来の「民族」は英語のNationの訳語で、国民国家Nation state を建国する権利を持つ、とされてきたからだ。
モンゴル人とウイグル人にも独自の国民国家を打ち立てる権利があるとの危機感を持った中国は、慌ててアメリカで使われ始めていた新しい概念、エスニック・グループを「族群」として導入した。ここから、モンゴル人もウイグル人も「中国のエスニック・モンゴル」「中国のエスニック・ウイグル」とされた。<以下略>