日本学術会議と言われても、国民の多くは、その設置根拠も会員任命手続きも知らないから、なんか『ポカーン』としてしまう。
ただ、歴代の政権が手をつけなかった事項に菅政権は手を入れているということだけはわかる。
「ハンコの廃止」など目新しいことをすると国民にウケるみたいだから、かねてから目の上のタンコブだった同会議に「任命拒否」と言う形で政治の重みを知らしめようとしたのでしょうか。
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加藤長官「推薦の仕方を変えた」 日本学術会議の任命問題
The PAGE, 10/2(金) 17:00配信
加藤勝信官房長官は2日、定例会見で、日本を代表する学者が集まり、政府から独立して政策提言などを行う「日本学術会議」の新会員について、会議が推薦した候補者105人のうち6人が任命から外されたことについて質問を受けた。
記者から、1983(昭和58)年に当時の中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式的任命に過ぎない」と国会答弁したことについて「国会答弁は現在も生きているのか。解釈は変更されたのか」と問われた加藤長官は「その当時そうしたやりとりがあったということは私ども十分承知している」と回答。
一方で、その後「専門的領域での業績のみにとらわれない広い視野に立って総合的、俯瞰的観点」が必要となり、「改めてもう一回推薦の仕方を変えた」と説明。そのうえで「そうした経緯の中で、私どもとしてそれらを踏まえて、今回まずは日本学術会議から出していただいた推薦名簿をベースに私どもとして任命を行った。こういう経緯だ」と語った。
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上記の記事の中に書いている通り、内閣による「任命」は形式的なものでしかありません。
それを、加藤官房長官は、「改めてもう一回推薦の仕方を変えた」とあくまで内閣の手続きの見直しレベルの話しとして説明している。
本当に、「そのレベル」の話しですか?
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日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、 わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する ことを使命とし、ここに設立される。
第1章 設立及び目的
第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。
3 日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。
第二条 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を 図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。
第2章 職務及び権限
第一条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
第3章 組織
第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、こ れを組織する。
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者の うちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする。
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問題の会員の任命については、第7条2項に「第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」と書いています。「基づいて」しか方法はないのです。
ここを変えたいのであれば、国会に改正法案を出して論議して決定すべきでしょうが、こうした手続きをすっ飛ばして「推薦の仕方を変えた」という菅政権。
この答弁自体が支離滅裂。「推薦」するのは日本学術会議であって、内閣の仕事ではない。なぜ、その場にいた記者たちは、この程度の矛盾を指摘できないのでしょうか。
さらに、シカリさんが「内閣に人事権がない」とハッキリ言える根拠は、「辞める時の手続き」にあります。
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第二十五条 内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があつ たときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。
第二十六条 内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の 申出に基づき、当該会員を退職させることができる。
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第二十五条では、会員本人が「病気等のやむを得ない事由」によって辞職を申し出た場合、内閣総理大臣は「日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる」と規定しています。
本人からの申し出にもかかわらず、日本学術会議の同意がないと承認が出来ないのです。
第二十六条の方は、会員の中で不適格な行為を行う会員について、日本学術会議からの申し出に「基づき」退職させることが出来ることとなっています。
つまり、この二つの条文から、あきらかに内閣独自の人事判断は一切認められていないことは明白です。
にもかかわらず加藤官房長官の発言のような意味不明な理屈を押し通そうとする菅政権は、安倍政権同様に、日本の法秩序を無視し、自らの意向の範囲で日本のすべての秩序を作り替えようとする途轍もない反動だということが出来る。
ところで、こうしたことがネットに流れると、意味不明な政権ヨイショ記事が出て来る。その多くが、より強い政権には逆らえず、少し弱そうな人々を叩いて留飲を下げようとする連中のすることだ。
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戸谷友則 (TOTANI, Tomonori)@tomonoritotani 学術会議が「学者の国会」とか「87万人の学者の代表」という言い方はやめて欲しい。学術会議の新会員は学術会議の中だけで決めていて、会員でない大多数の学者は全く関与できないし、選挙権もない。
上山信一 Ueyama@ShinichiUeyama 学術会議も学士院も何する機関か、ガバナンスどうか、費用対効果など積極開示すべき。特に終身年金制度に正統性があるか?海外比較含めた説明が必要だろう。 その上でなら、人事への政治家の関与には一定の節度が必要と主張できる。でないと長老学者の既得権益の維持装置といわれても仕方ない
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この二人も一応研究者なんでしょうか。
学術会員に推薦もされず、ひがんでいるんでしょうね。
たちが悪いのは、「特に終身年金制度に正統性があるか?」などと書いて、さも、学術会員が終身年金を受けているかのような錯覚を与えようという意図がアリアリ。
くだらん連中ですよ。終身年金を受けられるのは、学術会員の中のさらに選ばれた「学士院会員」だけですよ。
学士院会員が受ける年金は、文化功労者に支給される年金より少ない額で、しかも課税対象となる年金です。
自分のひがみ妬みに事実を知らない人々を巻き込んで留飲を下げたいのでしょう。
もちろん、こうした制度に問題があるのなら、どんどん国会で論議して結論を出せばいいこと。
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橋下氏 突然注目の“権威”「学術会議」…「常識からかけ離れた事実出てくると思う」
デイリー、10/2(金) 18:25配信
橋下徹弁護士が2日、ツイッターに投稿。菅義偉首相が推薦された新会員候補6人の任命を見送ったことで、突然注目されている、学術の立場から政策を提言するとされる政府機関「日本学術会議」に関して、「学術会議についてメディアは徹底的に検証すべき。おそらく世間の常識からかけ離れた事実が続々と出てくると思う」と投稿した。
「学術会議自体の存在意義を確認すべき」ともツイートし、「今は権威だけで押し通せる時代ではない。このような団体が税の使い道を決定できる根拠は何なのか?たっぷりの税金を受けている大学において軍事研究を禁止する決定ができる根拠は何なのか?」と記した。
学術会議の実態が「国会で明らかになることを望む」としている。
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最近、この人物、やたらとマスコミに露出している。なんか、来年あるかもしれない選挙とか意識しているんでしょうか?
この人物、弁護士として自ら担当する案件で、裁判所の許可もなく相手の財産を処分したとして大阪弁護士会から処分を受けた経歴のある人。
つまり、菅政権同様、手続きはどうでもよく、自分の気持ちさえ満足すれば事足りるという人間。
あ~~、怖い、怖い。