江戸っ子でぃ

長崎県五島市に住む老人が、政治に関する愚痴などを書いています。

ブログ・ハイジャッカー(第4話)

 【第3話より続く】



  ボッシュと会ってからのひと月ほど、隠元はあちこちの知人と連絡を取り合ったり、図面

 を広げたり、様々な資料と格闘していた。


 もう数日で、新年を迎えるというある日。

 隠元は、アドメニアに帰ったボッシュに電話をかけていた。


  「この前の話だけど、一箇所だけ該当する場所が見つかったよ。それで、正月早々にでも

  現地調査をかけようと思っている。そこで、一つ心配なのは、幕府を説得することが出来

  るのか、ということだけど・・・」

  隠元、そこは心配しなくていいよ。確実な場所を確保してもらえれば、あとは僕の仕事

  だ。とりあえず、着手金を送っておくよ。」

  「わかった。それから、君と僕の関係が表に出ることはないんだろうね。特に事前調査を

  僕の会社がすることも。」

  「大丈夫だよ。全て僕がやったことになるのだから。」

  「そうか。それを聞いて安心したよ。とりあえず、現時点で調査した内容と場所がわかる

  地図をメールで送るよ。」
  


  ボッシュの約束で少し安心したのか、隠元は久しぶりに二人の社員を飲みに誘った。

  飲み会となると、いつものとおり西山須美子の甲高い声と、無題勝山の低音のブルースを

  いやと言うほど聞かされるのである。


   「ニシヤマ~~、スミコダヨ~~。」

   「パッパパヤーパー、パッパパヤーパー。」


  この二人、いつもこの調子で周囲のことなど無頓着。完全な自己中であ

  った。そして、隠元はこの二人を誘ったことを悔やむのであるが、不思議と次の回には忘れていた。
  


  年が明けて寛永17年正月4日。

  出勤してきた無題と西山を前に、隠元は新しいプロジェクトの指示をしたのであった。

                      (つづく)